秋も徐々に深まってきて、学生達は受験が間近となってきますね。
私が働く会社は教育とはまったく関係ない分野ですが、これから受験シーズンに突入してしまいます。
昇進試験で幹部候補をより優れ
私の勤める会社には、管理職に昇進するにあたって、筆記・論文・面接で構成される昇進試験というものがあります。
以前にその話題を出した際に、下記のようなコメントを頂きましたが、残念ながらこの昇進試験、そんなありがたいものではありません。
(例文あり)読書感想文の書き方と教え方。作文の基本をおさえて夏休みの宿題を片づけよう。 - 親子ボードゲームで楽しく学ぶ。そういえば、俺、国語の成績悪かったな。特に作文ができなかった。それにしても昇進試験があるのはうらやましい。俺の会社はゴマすり昇進方式だからなぁ(笑)
2017/08/20 21:54
多くの企業もそうでしたが、うちの会社もバブル期に大量採用、その後不況のあおりをうけて就職氷河期時代に採用の絞りこみをしてきました。
その後はリストラも十分に行わなかったため、逆三角形ピラミッドのいびつな人員構成となっています。
そのうち大勢のバブル入社組が年次的に管理職適齢期を迎えます。しかしながら、大量にいる社員に対して、ポストが足りない!
半沢直樹の都市銀行のように、貸付先などに社員を押し付けさせる力がある企業ならよいのですが、力のない企業は、出世を遅らせながら社内で回すしかありません。
そうこうしているうちに、私もそうですがその次のロスジェネ氷河期世代も適齢期になってきて、管理職手前の人材が大渋滞して現状に至ります。
そもそも会社が採用数を見誤ったのが根本的な原因。もはや希望退職などのリストラ以外に根本的な解決はない。でもそこまで踏み切れないので、対処療法として、順番待ちで滞留している人材を試験で振るい落としすることとしました。これが昇進試験なわけです。
試験は筆記試験と論文、そして面接です。銀行で行われているような、知識や技能を問うような試験ではなく「管理職の資質を問う」ということがテーマになっています。
評価は、受験者とは畑違いの部門の偉いさんによっておこなわれます。自分の部門の上司だと、お手盛り評価が甘くなるので、客観性を高めるというわけですね。
・・・と、ここまで書くと若干まともそうですが、そうではありません。合格者の枠は少ないので、仮に落ちてもその結果に納得して昇進なしで働いてもらわなければなりません。これも目的です。
試験を受けて「お前は管理職の資質がないんだ」と納得させて受験をあきらめさせるのもひとつの目的。よって面接は基本エゲツない圧迫面接です。自部門だとその後の業務に支障がでるので、利害ない他部門の面接官から圧迫するわけです。
10年、20年と会社生活を送ってくると、立場も上になって仕事への自負もそれなり。ベテラン社員の叱られ耐性は新入社員よりもかなり低下しています。圧迫面接で徹底的にやられるとヘタすれば会社に来れなくなるほどのダメージを受けてしまいます。
「あんな試験を受けてまで管理職にはなりたくない」と出世を諦める人間も続出。これが狙いのひとつだったりするんですよね。
そんな厳しい試験ですから、自然と徹底的な試験対策がはじまります。
過去問題集が作成されたり、模擬面接が開催されたり、論文書き方指導があったり。試験シーズンには、仕事ほっぽり出して試験勉強を始める連中もたくさん。
これらは、会社にとって何も生み出していない生産性ゼロの仕事です。
残業は極力しない主義の私は、「お前はヒマだよな」と、受験支援に駆り出されます。まったくもって会社の利益に貢献していない仕事です。
昇進試験をクリアした精鋭たちは
そんな厳しい昇進試験の狭き門をクリアした人は、さぞかし優秀かというとそうでもありません。
筆記試験は社訓などどうでもいい話ばかりなので、対策が進んだ結果100点が当たり前に。もはや足切りです。
論文試験は、畑の違う試験管を唸らせる論文は書けないからこれまたどんぐりの背比べ。
結果して10分の面接が合否の大層を左右します。
就職面接もそうですが、たったの10分でその人のことがどれだけわかるでしょうか。わかるわけがありません。
結果して、厳しい試験を通る人の傾向は大体きまってきます。
- コミュニケーション能力が高い人
- 圧迫面接で批判されても凹まない鈍感な人
- 自己アピールがうまい人
こんなタイプです。
逆に、この試験で淘汰されてしまうのは、真面目で縁の下の力持ちな人。共感力が高く繊細な人も圧迫面接にやられてしまいます。
また、研究職など専門職的な仕事の人も、10分で専門的な仕事を理解させられないので、「何をやっているのかわからない」と落とされてしまいます。
「あの人はどう見ても仕事デキて面倒見がよいのになぁ」という人が昇進できず、なんでも口先で乗り切り、仕事をすることよりもアピールすることの方がうまい声が大きい人、そんな管理職が社内で増殖するという結果に。
下記の記事を読んで、部下からダメ扱いされる上司ばかりって、うちの会社じゃないのかなと思ってしまいました。
時代が変われば絶滅に
さて、そんな使えない管理職と、仕事サボって受験勉強をしている候補生の会社が、利益をあげられるわけがありません。
アピールだけの人間が作った経営目標なんて達成できるわけではなく、業界再編の波が押し寄せ、他の会社の血が入ってくることに。
その結果、声が大きいだけ、アピールだけで中身が伴わない人は、どんどん飛ばされてしまうことに。
人員整理までは至らないけども、陸の孤島のような場所に飛ばされたり、「俺、50なんだけど一番若いんだよな。」というお年寄りの寄合のような部署も作られてしまいました。
えげつないですが、将来ある若手のためには必要悪でしょう。これで風通しがよくなるといいけど・・・。今年は最後の受験シーズンになるといいけどなぁ。
あ、そういえば、私も一応管理職だったなぁ。さて、どうなることやら・・・。