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早期決算をしない「ワークマン」と決算発表一番乗りの「あみやき亭」に学ぶ。

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興味深いツイートを見つけました。

 

「決算発表を急ぐから残業で大変になるんだ」と、東京証券取引所が求める期末日から30日以内の決算開示(いわゆる月内発表)を「しない経営」で働き方改革を優先するワークマン。 

一方で、大半の会社が時間と労力をかける決算作業をたった1日ですませ、翌日に決算発表をするあみやき亭

両社ともインパクトある取り組みですが「のんびり決算発表」「どこよりも早い決算発表」ということで、ベクトルが全く逆になっているのが興味深いです。

 

決算の早期開示はいつから?

金商法では、四半期報告書を期末後45日以内に提出しなければならない、いわゆる45日ルールというものがあります。

さらに、東京証券所は期末後30日以内に決算単信(決算速報)を開示した企業を「早期決算会社」とし早期開示を促しています。

2000年頃に連結決算書類主体の開示がはじまり、「月内発表」が上場企業に推奨されるようになりました。

この頃から、3月決算企業は続々と4月末に決算発表を目指します。それらの会社の経理担当者は、月末まで昼夜問わない激務が続き、それと引き換えにGWの勤務から解放されることになりました。

 

私がまだ社会人ホヤホヤだったころ、仕事のトラブルでGWに出勤するハメになりました。「みんなが旅行など出掛けているときに出社なんて憂鬱だな」とオフィスに入ると、隣の経理部フロアではGWなんて存在しないかのように普通に全員出社している!

「大変なところに来てしまった」と当時は思った記憶があります。

 

うちの会社の「経理にGWはない」状況は、月内発表に伴い解消されました。そのかわり業務ピークが先鋭化するはずですが、うちの会社の場合、決算早期化に伴い経理部門の残業はなぜか減少

というのも、これまでも徹夜が当たり前で働いていたため、期間が短縮されても物理的に残業のしようがなかったのです。もともとブラックだったという悲しい理由です。

結局のところ、ブラックな職場では仕事って時間があるだけ人がいるだけ量が増えることが多いんですよね…。

 

「しない経営」のワークマン

個人向けの作業服という小さな市場から急拡大し、店舗数ではユニクロを超えたワークマン。ワークマンの経営でユニークなのは「しない経営」です。

-残業しない

-競争しない

-値引きしない

-顧客管理しない

-ノルマ付与しない

など、「社員に無理をさせない」ことに重きを置いています。

店舗は直営ではなくフランチャイズが中心ですが、フランチャイズ店舗とWIN-WINの関係をもつことに心がけているそうです(知り合いはいないため実際のところは知りませんが)。 

個人的には、国内の製造元に対して本社から発注数量を示さない方針に驚きました。発注量管理をせずに、自主性に任せて過剰在庫が発生しない仕組みとはにわかに信じられません。

決算に関しても「価値を生まない無駄なことはしない」「社員のストレスにならないようなことはしない」の方針で、残業してまで急がせる仕事ではないとして早期開示を見送ったとのこと。

早期決算発表の効果って、「情報開示に積極的な企業」として投資家やアナリストに好印象となり株価にもプラスといわれますが、実際のところどれだけの価値があるかは計測不能。それよりも社員の負荷を考えたというわけですね。

 

単純化と平準化で日々決算を実現するあみやき亭

私の働く会社では、役員のボーナスは業績に連動して決まります。

決算が締まり当期の利益が判明したら、それに応じて役員のボーナスが決まるわけです。

しかしながら、役員賞与も当期の費用。これが変われば当期の税金も変わるし利益も変動します。

業績が変われば役員賞与も変わり、役員賞与が変われば業績も変わるという、まるで循環参照のような構造で何度も計算をすることになります。

 

実務サイドでは「予測値や前期数字を用いて計算すれば何度も計算しないでいいのに」と考えるのですが、「ちゃんとした数字を賞与に反映したい」とい1役員の要請により、決算を仮確定させてから役員賞与を決め、それから決算が最終確定するプロセスができあがっています。

 

1日で決算が確定できるあみやき亭では、こんな面倒なプロセスは絶対にありえません。

あみやき亭が実現する決算プロセスのカギは「単純化と平準化」。ひとつひとつの作業をシンプルにするとともに、経費など原則当日に処理し、毎日決算値を確定させて期末の作業を極小化します。

1日で決算を確定させるからには相当な人海戦術かと思いきや、単純化と平準化によって経理の正社員はたった2名というから驚きです。

日々決算の情報は、監査法人に送って監査業務も平準化しているとのことで徹底しています。

 

歩いて近道をゆけ

ワークマンとあみやき亭。まったく路線の異なる二つの会社ですが、両社に本質的に共通していることがあります。それは、「無駄な仕事はしない」「仕事を急がせない」です。

 

昔、生産管理の先生から教えられました。

「早く仕事をやることと、急いで走ることとは全く違う。走っても長続きしないし、急ぐことによって品質を損なうおそれがある。目指すのは最短のルートをみつけ、そこをしっかり歩いていくことだ。」

決算のような期限がある仕事は、どうしても急いでしまいます。しかし、そこをあえて立ち止まって近道を探してみると、もしかしたら道が開けるのかもしれません。

先進企業の事例はなかなか真似できない世界ですが、事例から学びながら、少しずつでも仕事の改革ができればと思います。