スポーツではたびたび話題になる八百長問題。テニスのように、試合数が多くて賭けの対象になりやすく、知名度は高い割に選手の賞金額が低いスポーツに多いようですね。
スポーツは健全であるべきという話を置いておけば、問題点は一部の人が勝敗を知りうる状況にあるという情報格差。八百長関係者だけが、勝敗に関する情報を握ってしまっている点ですね。
では、極論で「八百長ありルール」にしてみてはどうでしょうか。誰でも選手を買収してOKにするわけです。自分が仕込んだ選手を自由に勝たせる(あるいは負けさせるる)し、選手もお金をもらえて、これはこれでゲームになるかも。実力は崩壊してしまいますが・・・。
ただそうすると、今度は選手の買収合戦がはじまり、資金力がある人間が勝負の行方を決めることになりますね。これはこれで新たな不公平です。
その対策としては、八百長のための選手の買収資金を一定にしたらどうでしょうか?「八百長のために使用できる資金は、トーナメント1試合あたり5千万円とする。その限度内であれば、何人を買収してもよい。」なんてね。
限られた資金のなかで、キー選手1人に振り向けるか、それとも小粒なプレイヤーをたくさん買収するか・・・。ライバル陣営が誰を買収するかも考えなければなりません。かなりゲーム性が出てきます。
...ま、こんな世界は現実にはありえませんが、ゲームの世界なら存在できます。というわけで、八百長ありありのレースゲーム。「キャメルアップ・カードゲーム(Camel up cards」です。
ラクダレースの勝者を当てて賞金を稼げ!
ヒットしたボードゲームは、しばらくしてからカードゲーム版やダイスゲーム版の派生バージョンが出ることが多いです。比較的安価でコンパクトにできるので、手軽に遊びたい層に買ってもらうことを期待するわけですね。
「キャメルアップ・カードゲーム(Camel up cards)」の大元は、権威あるドイツゲーム大賞を2014年に受賞した、ボードゲーム「キャメルアップ(Camel up)」です。砂漠のラクダレースをテーマにしています。
内容物
カードゲームということで、比較的コンパクトな箱の中には、カードとコマが入っています。
もともとボードゲームだったものをカードゲーム化したということで、カードはかなりの枚数があります。
ラクダレースのコースを示すレーストラックカード。レースカードラクダのレーシングカード、勝者のラクダを決める投票カード、賞金を管理するマネーカードをはじめ、いろいろな種類に分かれています。
コマはレースの走者であるラクダコマが5色と、レースの障害物となるヤシの木コマとフェネックコマです。
準備
レーストラックカードをスタートからゴールまで並べてコースを作り、スタート地点にラクダコマを置きます。
コースの外には投票カードを設置します。片側にはレース終了後の最終順位を競う横向きの最終投票カード、もう一方には中間順位を競う縦向きの区間投票カードです。
コース脇には、フェネックとヤシの木を、それぞれコマとカードをセットで置いておきます。
次に、レーシングカードの準備です。
プレイ人数によって決まっていますが、例えば4人プレイなら、レーシングカードを各自7枚配ります。プレイヤーたちは配られた7枚のカードを見て仕込みをします。
まず、7枚のうち3枚を捨て札として選んで捨てます。残った4枚のカードのうち1枚を手札としてキープ、残り3枚を場札としてみんなで集めてシャッフルして中央に置きます。
このカードの準備プロセスから実質的な勝負がはじまります。進めたくない色のカードは捨てて、手札には切り札としてもって置きたいカードをキープする戦略が入ってくるわけですね。
ゲームの流れ
キャメルアップの目的は、5頭建てのラクダレースの勝者を当てて賞金を稼ぐこと。ラクダレースを進行させつつ、ラクダに投票する流れとなります。
プレイヤーは特定のラクダを操作するのではなく、あくまでも投票者。しかしながら、レースカードや妨害するカードを使ってレースの流れに関与することができます。
スタートプレイヤーから順番に進行しますが、手番でできることは、ラクダを進めるレースアクションとラクダに投票する投票アクション2つの行動です。
レースアクション~自分の投票どおりにラクダを進めよう
レースアクションでは、「レーシングカードの山札をめくる」「手札のレーシングカードを出す」「フェネック・ヤシの木を設置する」のレースに関わる3つの行動から1つを選択します。
レーシングカードの山札をめくる
山札からレーシングカードを1枚めくって表にします。+1のカードではその色のラクダが1歩進みます。+2のカードは2歩進みます。
手札からレーシングカードを出す
「他のラクダに乗れるぞ!」など、ここぞというタイミングでは、場札のかわりに手札のカードを出していきます。場札と同じく当該色のラクダが進みますが、+2カードを出しても1歩しか進めません。
進んだ結果で他のラクダがいるマスに到着すると、そのラクダの上に乗ることができます。乗られたラクダは、いなくなるまで上のラクダを乗せたまま進むことになります。
乗った側は下のラクダが進むことで何もせずに進むことができます。順位を判定時には上にいるラクダの順位が上です。うまく上に乗ることが、レースの勝利に関わる重要な要素です。
フェネック、ヤシの木を設置する。
フェネックコマ、またはヤシの木コマはレースの障害物。これらを設置したい場合には、テーブルから取って、レーストラックカードの上に設置します。そして対応するフェネックカード、ヤシの木カードは手元にもらいます。
コマを設置したマスにラクダが到達すると、フェネックは「1歩下がる」効果、ヤシの木は「1歩進める」効果があります。効果が発現すると、ラクダを動かしたうえで、カードとコマをテーブルに戻します。
なお、設置して効果が発現するまで手元にカードをもっている状態になりますが、賞金が精算される際に持っているとカード1枚につき-1点となるため注意が必要です。
投票アクション~勝ちそうなラクダに投票しよう
投票アクションのフェイズは、場に出ている投票カードを1枚もらうことになります。
横向きのカードが区間投票カード、途中の順位を当てます。1位と3位を当てるカードになっており、1位のカードは複数枚ありますが、先に取るほど得点が高いです。
縦向きのカードが最終投票カード、ゴール時の順位を当てます。1位とビリを当てるカードになっており、区間投票に比べて得点が高いですが、各1枚ずつしかありません。
レース終了と勝敗
山札のレースカードがなくなれば区間終了で中間集計です。その時点の順位に基づいて、区間投票カードに応じた賞金を紙幣カードで受け取ります。精算後はカードを配りなおしてレースを再開します。
いずれかのラクダがゴールまで到着すれば、レース終了です。いったん区間投票の精算をしたうえで、最終投票カードに基づいて賞金を支払い、手にした賞金が一番多いプレイヤーの勝ちとなります。
一見して競馬のようで、心理戦レース
ラクダレースの1位に投票するシステムは、一見すると競馬のような雰囲気に見えますが、中身はずいぶん違います。
投票は毎ターンできるので、できるだけレースの状況を見定めてから投票したいところ。しかしながら、投票カードの枚数は限られていて、同じ種類の投票カードでも、早く投票した方が得点が高いカードが手に入ります。思い切りよく早く投票するか、慎重に結果を見定めてから投票するかが悩みどころ。
カードの準備から戦略はスタート。自分が山札にどんなカードを仕込んだかを思い出しつつ、相手の投票を見ながら、「一体どんなカードを仕込んだのだろうか」と想像しながらレースの行方を予想していきます。他のプレイヤーが支援している勝ち馬に乗る戦略も必要で、心理戦の様相がかなり強くなっています。
レースに勝つためには、うまく他のラクダに乗ることが大事。乗って乗られてレースをしていくところは、「ウミガメの島」のようですね。他のラクダに相乗りして一気に順位をあげていくところが、やはり盛り上がるポイントです。
難点はカードの種類が多く、ごちゃごちゃしているところ。特に獲得賞金を示す紙幣カードは、カードの裏表や左右の並びを変えて計算をしないといけないなど、ちょっと分かりにくいです。
最近再販がされてようやく流通するようになりましたが、サイコロを転がしていく本家「キャメルアップ」の方が、ビジュアル的なインパクトがあるので、パーティーゲーム色が強く、初心者のとっつきと盛り上がりはよいかもしれません。
- 出版社/メーカー: ホビージャパン
- 発売日: 2014/08/10
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とはいえ、価格面でいえばやはりカードゲームに軍配があがります。レースの進行をしながら投票をしていくシステムはカード版ならでは。心理戦の要素はこちらが強いかもしれません。コンパクトな中に、本家にも劣らない熱いレースがつまった作品となっています。
項目 | 公式表記 | コメント |
---|---|---|
年齢 | 8歳以上 | 6歳くらいからできそう |
時間 | 30-60分 | 人数次第 |
人数 | 2-6人 | |
日本語化 | 不要 | 説明書のみ |
項目 | 評価 | コメント |
---|---|---|
ルールの易しさ | ★★★☆☆ | 若干カードが多めかも |
大人も楽しい | ★★★★☆ | 大人も楽しい |
2人でも楽しい | ★★☆☆☆ | 3人以上がいいかも |
総合評価 | ★★★☆☆ | 名作キャメルアップを凝縮 |
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- 発売日: 2016/12/05
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