ボードゲーム「ケルト(Keltis)」。長らく「無冠の帝王」と呼ばれていた大御所ボードゲームデザイナーのライナー・クニツィア氏が、2008年に初めてのドイツ年間ゲーム大賞の栄冠を獲得した作品です。
アニメ「放課後さいころ倶楽部」では、第8話に「ドブル」とともに登場しています。
www.boardgamepark.comケルトのもとになったのは2人用ボードゲームの名作「ロストシティ」。アイルランドのケルト民族の石造物にテーマを変え4人まで遊べるようになっています。
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石の道を遠くまで進もう
ゲームの概要と目的
5つに彩られた石の道。カードをプレイして、自分のコマを石の道のできるだけ遠くまで進めていきましょう。ただし、カードの順番に考慮しないといけません。
進む選択をしたのに奥まで行けなければ減点。願いの石はたくさんあつめれば高得点。たくさんの得点獲得を目指しましょう。
内容物
いわゆる大箱のなかに入っているものは以下のとおり。
- ゲームボード
- カード
- プレイヤーコマ、大きなクローバータイル、得点マーカー
- 願いの石タイル、クローバータイル、得点タイル
カードは0から10まで、5色の種類があり各2枚ずつの110枚です。
コマは4色。赤や青のようなビビッドな色ではないところが特徴的です。
通常のプレイヤーコマが各色4個ずつ。厚みがある大きなコマは、得点が倍増するコマ。「スーパーヒトシくん」のようなイメージですね(古い)。
小さなコマは得点マーカー、大きなクローバーは手元においてプレイヤーが担当している色を示します。
なお、私がもっているバージョンは、拡張ボードつきのものなので、上のようなチップもついていますが、今回の紹介では省略いたします。
準備
プレイヤーは色を選び、大きなクローバータイルを受け取ります。
ボードをひろげ、マスの灰色部分にタイルを裏向きにおいていきます。全部置いたらタイルを面に向けます。
プレイヤーの大中コマはボード中央下部のスタート地点、小さい得点マーカーはボード左下のスタート地点です。
カードをシャッフルし、手札として8枚ずつ配り、残りを山札としてボード脇におけば準備完了です。
スタートプレイヤーは「アイルランドに最近行った人」日本人には難易度が高くて決まらないですね。
ケルトのルールとゲームの流れ
手札からカードを出していき、5つの道でコマを進めていきます。たくさん進むほど高得点。少ししか進まないと減点です。進む道を選択しながら高得点を目指します。
ゲームはターン制で、手番では
「1 カードを1枚出す」「2 カードを1枚とる」のアクションを実施します。
1 カードを1枚出す(捨てる)
手札からカードを1枚選び、「自分の前」に出すか、捨て札として「捨て札置き場」に出します。
カードを自分の前に出す
自分の前に出す場合に、色別に並べます。既にに同じ色のカードが出されている場合には、昇順または降順(同じ数字もOK)に並べなければなりません。
昇順降順がわかるよう、カードはちょっとずらして置いていきます。
カードを出したら、対応する石の道にコマを1歩進めます。カードを出すほど、どんどんコマが進んでいくわけですね。
コマを進めた際にタイルがある場合には、そのタイルの効果を適用します。
得点タイル
得点タイルは、記載の数字の分だけ得点です。得点マーカーを進めます。
クローバータイル
クローバータイルは、自分の好きなコマを1マス進めることができます。進めたタイルでクローバータイルを踏めば、さらに進むこともできます。
願いの石タイル
願いの石タイルだけは早い者勝ち。最初に到達した人がタイルをもらい、ゲーム終了時にボーナス得点です。
カードを捨てる
捨て札置き場に出す場合には、他のプレイヤー分と混在で色別に重ねていきます。
2 カードを1枚とる
山札または捨て札置き場の一番上のカードから1枚ひき手札に加えます。
山札だとひくまでどんなカードか分からない一方で、捨て札の場合はカードが選べるわけですね。
手番終了後は、手札は8枚に戻り、次のプレイヤーに交代します。
勝敗
5つある石の道の遠い方から3マスがゴールエリア。このゴールエリアにプレイヤーコマが5つ入ったらその時点でゲーム終了です。
石の道にあるプレイヤー駒の脇の数字が得点です。それぞれの道ごとに得点計算をします。大きいコマを使用している場合には、獲得得点を倍で計算し、得点マーカーを動かします。
さらに願いの石タイルを数え、枚数に応じた得点を加算します。
得点マーカーが一番進んで得点が一番多いプレイヤーが勝者です。
程よいジレンマの名作
どの色を集めていくべきか…。中途半端に進むと得点はマイナス。ある程度カードを集めて進みたいところですが、手に入るカードは数字も色も様々。
いろいろな道に手をだしていくと、8枚の手札ではあっという間に足りなくなってしまいます。
要らないカードは積極的に捨てていくことになりますが、安易に捨てると「敵に塩を送る」ことにもなりかねません。
相手を有利にしないため、自分が必要ないカードもキープすると、ますます手札は苦しくなります。手札のマネジメントが大事なゲームです。
早いもの勝ちの「願いの石」をいかに先にゲットするか。クローバータイルで「連鎖」させてコマを連続で進めるなど、道のタイルの使い方も戦局を左右します。
手番は「カードを出す」「カードをひく」の2つだけでとてもシンプル。「カードの引き」の運と、それを踏まえた戦略、プレイヤー間の絡みもありゲームバランスは絶妙です。
「ケルト」には、残念ながら日本語版がなく(といっても言語依存はないですが)、国内ではあまり流通していません。
いわゆる「大箱」のボードゲームの割には中身はシンプルで複雑な戦略を好むボードゲーム愛好家の食指が動かない。一方でカードゲームなどが中心のライト層にはハードルがあるところが要因でしょうか。
テーマも独特なので、最初は派生作の「ケルトカード」「ケルトタイル」などで楽しみ、雰囲気が気に入ったらステップアップでもいいかもしれません。
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個人的には、わかりやいルールで程よいジレンマが楽しめ、ユーロ系ボードゲームの褒め言葉である「シンプルで悩ましい」を体現した文句なしの傑作ボードゲームです。
項目 | 公式表記 | コメント |
---|---|---|
年齢 | 10歳以上 | 6歳くらいからでもできるかも |
時間 | 30分 | |
人数 | 2-4人 | |
日本語化 | 不要 | 説明書のみ |
項目 | 評価 | コメント |
---|---|---|
ルールの易しさ | ★★★★☆ | 比較的簡単 |
大人も楽しい | ★★★★★ | 大人が楽しい |
2人でも楽しい | ★★★★☆ | 2人でも楽しめる |
総合評価 | ★★★★★ | 「シンプルで悩ましい」を体現した傑作 |
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