画商となって、絵の売買をして稼ぐ「モダン・アート(Modern Art)」。1993年のドイツ年間ゲーム大賞を受賞した、いわゆる名作ボードゲームです。
明日のピカソを探せ!
内容物
●絵画カード(70枚)
このゲームのメインとなる、取引される5人の画家の絵が、大ぶりのカードに描かれています。
●ゲーム盤
5人の画家それぞれの自画像でしょうか。画家ごとの絵の価格を表示するボードです。
●市場価値チップ
ゲーム盤に置いて使用する絵画の価値を示すチップです。
●コイン
所持金を示します。
●ついたて
お互いに所持金が見えないように、隠すためのついたてです。
準備
ついてたてを各自ひとつ、コイン100,000$分づつくばります。
初期の手札を配り(4人プレイなら9枚)、最初に競売人になるプレイヤーを決めたらゲーム開始です。
ゲームの流れ
プレイヤーは絵画を売買する画商となり、4ラウンドのなかで、絵画の売買をしながら所持金を増やしていくことが目的です。
絵画カードをオークションで売買し、さらにオークションで手に入れたカードを売却して換金し資金を増加させていきます。
ゲームはオークションと、絵画の換金の2フェーズで1ラウンドが構成されます。
オークション
競売人になるプレイヤーは、売りに出したい絵画カードを手札の中から選んで場に出します。
オークションの方法は、カードの隅にマークで示されており、その形式で、全員でオークションを行います。
オークションで最も高値を付けたプレイヤーが、絵画を落札します。競売人にコインを支払い、絵画カードを受け取って自分の前においておきます。
続けて、時計回りに次のプレイヤーが競売人を担当してオークションを続行します。
こうして、特定の画家の絵画が5枚出品されると、その絵画は取引されずオークションのフェイズは終了となります。
[ついたての裏にマークの解説がありますが、オークションには、公開競り、一声、入札、指値、ダブルオークションの種類があります。このいろいろなオークションをやるだけでもワイワイ楽しいです。
絵画の換金
最初に、画家ごとの絵画の出品数を数えます。
出品された絵画数の多い順で、画家に1位~3位のランクがつき、それぞれ30,000$~10,000$の価値となります。
ここで、1~3位の価値がついた絵画については、前のラウンドまでについた価格との累計が今回の価格です。1枚あたりこの価格で売却してカードを捨て代金を受領します。
一方で、4位以下となった画家の絵画は、値段がつかない無価値となります。過去の値段にかかわらず無価値となり、落札したカードをただ捨てます。
第2ラウンドではLITE METALの絵が1位で30,000$のチップがつき、累計40,000$の値段となりました。2位のKarl Gitterは50,000$、YOKOは今回はじめて値が付き10,000$です。他の絵は無価値です。
換金が完了したら、カードを規定数補充して次のラウンドとなります。
絵の取引で儲けるって・・・。
商売の基本は、安く仕入れて高く売ることですが、モダンアートにもこの原則が当てはまり、お金を増やす手段は以下の2つです。
1)画家から二束三文で手に入れた絵画(手札)をオークションで他の画商に売却する。
2)オークションで買い付けた絵を市場で売却する。
前者については、高値で買い取ってくれるプレイヤーがいなければなりません。どの絵をどんな値段で出品するかが考えどころ。
後者については、人気がない絵を買っても後で売値がつかず、収支マイナスです。いかに人気が出る絵を買い付けるかが考えどころとなります。
絵の人気を高めるためには、自ら「流行をつくる」ことも戦略です。
自分も含めた参加者の出品数で人気が決まるため、同じ画家の絵画を自ら出品したり、他のプレイヤーの出品画家の絵をさらに出品して「相乗り」したりすることになります。
2つあるYOKO(緑)の値段を上げたいけど、みんな乗ってこないなぁ。さらにYOKO推しに出品するか、それとも人気のLITE METAL(黄色)に相乗りするか・・・。
ひとたび人気の画家となれば、みんなが乗っていき、どんどん値段が高騰していきます。
業績のあがらない会社の株が、大したことない好材料で高騰したりするのにも似ていますね。
経済学者ケインズも「株式投資は美人投票を当てるようなもの。自分が美人と思うかは関係なく、みんなが美人と思いそうな人へ投資する。」といってますが、そんな株式市場にも通ずるものがあります。
価格は需要と供給で基本的には決まるが、需要は実際の必要性だけではなく投機的な思惑による実体なき需要に左右されるという、市場経済の縮図を体感することができます。個人的にこれはとてもいい勉強だと思います。
結局のところ、カードのデザインは全く意味をなしていません。このゲームにおいて、画商にとって絵画は金儲けのための手段でしかないわけですね。
実際の絵画の市場はどうなのかは知りませんが、真の価値は誰にも分からない、でも時に高額で取引されるという点で、近代美術というテーマがとてもマッチしています。
プレイヤーの思惑と駆け引きだけで成立するモダンアートの楽しさは、デジタルゲームにはない魅力です。ボードゲームに興味がある方には、日本語版も発売されていて手に入りやすいこともあり、一度は遊んでほしい名作です。
・・・・と、ここまで書きましたが、このモダンアート、駆け引きがすべてのゲームです。そのため、小さな子どもが苦手とする「ルールは分かっても勝ち方が難しいゲーム」となります。
うちの子が大好きなおさるのジョージで競売が登場していたので、オークションには理解がありましたが、やっぱり難しい。わが家では、駆け引きが理解できるほど大きくなるまでしばらく眠っている予定です。
項目 | 公式表記 | コメント |
---|---|---|
年齢 | 10歳以上 | 8歳くらいからかな |
時間 | 45-60分 | |
人数 | 3-5人 | できれば4人以上ほしい |
項目 | 評価 | コメント |
---|---|---|
ルールの易しさ | ★★★☆☆ | 割とシンプル |
大人も楽しい | ★★★★★ | 大人が楽しい |
2人でも楽しい | ☆☆☆☆☆ | 3人から |
総合評価 | ★★★☆☆ | 大人は5つ星だが子どもは? |
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