前回のRaspberry Piのインストールと無線LAN設定の記事で、「初心者は無線LAN内蔵がおすすめ」と書きました。
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いわゆるWifiドングルでの後付けでの無線LAN子機を推奨しない理由は、無線LAN子機をUSB端子に挿しても使えない場合が多いため。
昔は挿してすぐ使えるモデルもあったのですが、最近流通している子機でRaspberry Piですぐ使えるものは見当たりません。
とはいえ、内蔵してないモデルを買った場合や内蔵では電波が弱いケースなど、無線LANの後付けニーズはあります。
そこで無線LAN子機を利用するためのドライバのインストール方法と、Raspberry Piで使用可能な無線LAN子機の比較をしたいと思います。
RaspberryPiで無線LANアダプタを使うためのドライバインストール
Windowsパソコンのように差してそのまま使えないので、Raspberry Piで利用するためには、デバイスドライバをダウンロードしてインストールする必要があります。
ここで問題。ダウンロードということは、ネット接続をするためにネット接続が必要となるわけです。
この矛盾を以下のような手段で乗り越えるわけですが、ここが初心者にとってハードルとなるわけですね。
- 有線LANを使ってネットにつなぐ
- ネット接続済の別のRaspberry Piで設定したSDカードに交換
- USBケーブルでのOTGで母艦PCを経由してネットに接続
- SDカードを使ってドライバファイルを転送
今回は、有線LANを使ってネット接続しダウンロードします。
使用するのはRaspberry Pi2 B 2世代目のRaspberry Piで、有線LANがあるものの無線LAN機能が内蔵されていないモデルです。
ちなみに、ケースはSmarti Pi Caseというもの。レゴブロックを接続できる点と、GoPro用の三脚が付けられることが特徴です。吸盤状のスタンドをつけて窓にくっつくカメラとしています。
install-wifiを使った無線LANドライバのダウンロードとインストール
無線LANのドライバは、子機とカーネルに合った適切なものをダウンロードしてインストールすることが必要です。
マニュアルインストールは大変ですが、install-wifi という、それらのプロセスを自動で実現してくれるスクリプトを公開してくれている方がいますので、今回はそれを活用します。
無線LANの子機を差したあと、コマンドラインで以下の3行を入力してinstall-wifiを使います。
- スクリプトをダウンロードして格納
- ファイルに実行権を付与
- 実行
の意味ですね。
sudo wget http://downloads.fars-robotics.net/wifi-drivers/install-wifi -O /usr/bin/install-wifi sudo chmod +x /usr/bin/install-wifi sudo install-wifi
install-wifiで対応している無線LAN子機であれば、このプロセスでドライバがインストールされます。
標準では認識しなくなったIO-DATAのWN-G150UMを使えるようにする
手元にあったIO-DATAのWN-G150UM。昔は普通に使えたはずが、最新のRaspberryPi OSではなぜか使用できなくなっています。
RaspberryPi関連サイトを検索すると評価の高い、PLANEXのGW-USNANO2Aも同じチップなので、同じくRaspberry OS標準では使用できないと思われます。
使用できない理由は、用意されているドライバがブラックリストとして読み込まない設定となっているため。そこを無理やり復旧させると使用可にすることができます。
(問題があるから使用不可になっていると思われるので自己責任で)
sudo nano /etc/modprobe.d/blacklist-8192cu.conf
ブラックリストであるblacklist-8192cuの記述に#を付けてコメントアウトします。
さらに、省電力機能が悪さをするので、省電力機能を解除する設定として、新規に8192cu.confファイルを作成します。
sudo nano /etc/modprobe.d/8192cu.conf
無線LAN子機3機種(Archer T2UNano、TL-WN725N 、WDC-150SU2M)の消費電力と速度比較
最後に、安価に手に入るコンパクトサイズの無線LAN子機3種に、旧機種のWN-G150UMを加えて比較してみたいと思います。
(転送速度は環境次第で大きく変わるので参考程度に)
Raspberry Piの無線LAN子機には、転送速度も大事ですが、低電力で運用するにあたって消費電力が大事です。
転送速度はspeediest-cliで5回の最大値、電流は以下の簡易なUSBワットチェッカーを使って計測してみました。
waves QC2.0 対応 USB 簡易 電圧・電流 チェッカー テスター 積算電流・通電時間計測 国内発送
- メディア: エレクトロニクス
名前 | 価格帯 | アイドル時の電流 | 転送時の電流 | DL速度 | UL速度 |
---|---|---|---|---|---|
Archer T2UNano | 1,500円 | 0.02A | 0.15A | 44Mb | 18Mb |
TL-WN725N | 800円 | 0.00A | 0.11A | 32Mb | 19Mb |
WDC-150SU2M | 800円 | 0.00A | 0.11A | 27Mb | 18Mb |
WN-G150UM | 販売終了 | 0.02A | 0.12A | 33Mb | 28Mb |
有線LAN | - | - | - | 75M | 94M |
結果は意外にも、速度面で販売終了したWN-G150UMが健闘する結果となりました。同じ無線LAN規格のなかでは、消費電力以外はあまり進化してないようです。
TP-LINK Archer T2UNano
TP-Link WiFi 無線LAN 子機 AC600 433Mbps + 200Mbps Windows/Mac OS 対応 ナノ設計 デュアルバンド 3年保証 Archer T2U Nano
- 発売日: 2019/02/14
- メディア: Personal Computers
発売が新しく5GHz対応ということで、ダウンロード側の転送速度では最速です。一方で、アップロード側は遅く(2.5GHz設定にすると改善)、消費電力が高めで機器自体は結構発熱しいて熱いです。
表には最大値を記載しているためでていませんが、複数回計測してもコンスタントに転送速度が確保できていました。
消費電力を許してパフォーマンス重視なら Archer T2UNano値段に見合う安定性能を発揮しています。
TP-LINK TL-WN725N
TP-Link WIFI 無線LAN 子機 11n/11g/b デュアルモード対応モデル TL-WN725N
- 発売日: 2016/05/03
- メディア: Personal Computers
同じくメジャーな中国メーカーTP-LINKのTL-WN725N。消費電流も小さく、転送速度もそこそこあって、バランスが取れています。
お手軽に消費電力とコスパを考えるならTL-WN725Nです。
ELECOM WDC-150SU2M
エレコム Wi-Fi 無線LAN 子機 150Mbps 11n/g/b 2.4GHz専用 USB2.0 コンパクトモデル ブラック WDC-150SU2MBK
- 発売日: 2014/05/11
- メディア: Personal Computers
数少ない国産メーカーのELECOMのWDC-150SU2M。価格帯はTL-WN725Nと同じなので対抗馬ですが・・・。
転送速度の面では列後しています。複数回計測したときの速度のばらつきもELECOMの方が大きくちょっと残念な感じです。
電流はほぼ同じ。TP-LINKの公開情報で消費電力に関する記載はなく、中国メーカーよりも国内メーカーの方が消費電力は低いに違いないと思っていましたが、全くの思い込みでした。
国内メーカーへのこだわりがあればWDC-150SU2M。でなければTL-WN725Nを選択した方がよさそうです。
最近国内メーカーの無線LAN子機が海外製に駆逐されてしまっているのは、このあたりの事情があるかもしれません。