ボードゲーム「宝石の煌き(Splendor)」。2014年のドイツ年間ゲーム大賞にもノミネートした正統派の拡大再生産ゲームです。
宝石商人となって名声を集めよう
あなたは、ルネッサンス時代の宝石商人。
宝石を産み出す鉱山や、輸送手段、職人を確保し、ときに貴族と親密になりながら、商人としての名声を確固たるものにするのだ。
内容物
ちょっと大き目の箱ですが、中身のコンポーネントはカードとタイル、トークンの3種類のみの構成です。
発展カード、貴族タイル
発展カードは、プレイヤーたちが獲得を競う資源を示しています。
カードの裏は緑、黄、青の3種類で、レベル1〜3までレベル分けされています。
正方形のタイルが貴族タイルで、ボーナス得点チップの役割です。
宝石トークン
宝石商人たちの財産であり、カードを購入するための通貨にもなる宝石トークンです。
プラスチック製ですが、重みもあり、なかなかしっかりできています。
宝石トークンには、ルビー、サファイヤ、エメラルド、ダイヤモンド、オニキスの5種類に、ワイルドカードであるゴールドを加えた6種類があります。
準備
発展カードは、レベルごとに分けて裏向きに山札とし、縦に並べます。そして、各山から4枚ずつ表にして横に並べていきます。
貴族タイルは、プレイ人数+1の数だけ使用しますので、ランダムに選んでカードのそばに並べておきます。
宝石チップは、集めて種類ごとに重ねておきます。スタートプレイヤーを決めたら準備完了です。
ゲームの流れ
宝石を使って、発展カードをやボーナスの貴族チップを集めていくのが目的です。
スタートプレイヤーから順番にラウンドが進みます。プレイヤーは、「宝石をもらう」「発展カードを購入する」「発展カードを予約する」のいずれかの行動を選択します。
1)宝石をもらう
発展カードを獲得するために使う宝石を、下記のいずれかの方法を選択して入手します。
なお、所持できる宝石の上限は10枚ですので、10枚以上獲得してしまったら、10枚になるように返却します。
A 違う種類の宝石を3つ手に入れる
好きな宝石を3種類1枚づつ獲得します。
B 同じ種類の宝石を2つ手に入れる
同じ種類の宝石が欲しい場合は、もらえるのは2個だけです。なお、取ったあとに当該宝石の残りが2個以上ないといけません。
2)発展カードを購入する
手持ちの宝石を使って発展カードを購入します。
購入に必要な宝石の数は、カードの左下に記載されていますので、該当する宝石を指定数だけ支払って発展カードを獲得します。
ただし、すでに発展カードを所持している場合は、手持ちカードの右上に描かれた種類の宝石について1枚につき宝石1つ支払いが免除されます。
例えばルビーがついたカードを3枚持っていれば、ルビーは3つまで支払い不要。つまり、発展カードをもっていればいるほど、新たな発展カードが安く手に入るわけです。
手元の発展カードのディスカウントが効いてるので、サファイア(青)1個で中央のルビーがついた発展カードをを手に入れることができます。
手に入れた発展カードは、今後ディスカウントされる宝石の数が分かるように並べて手元に置いておきます。
さらに、貴族チップに記載されている宝石と同じ枚数の発展カードを集めた場合は、先着でその貴族チップをボーナスとしてもらうことができます。
3)発展カードを予約する
欲しいカードがあるが宝石が足りない!そんなときは、カードの予約ができます。
予約した場合には、当該カードを引き取り、購入分とは別にして手元に置きます。さらにおまけでゴールドトークンが1枚もらえます。
勝敗
発展カードと貴族タイルの左肩にある数字が。このゲームの得点を示す名声ポイントです。
誰かが15点を獲得したら、そのラウンドで終了です。得点が一番多いプレイヤーが勝利となります。
拡大再生産の楽しさをシンプル、コンパクトに
ボードゲームで王道の拡大再生産
テレビゲームの王道ジャンルといえば、RPG。敵を倒して経験値を得て、さらに強い敵が倒せるようになる、プレイヤーの成長が魅力です。
ボードゲームにおける拡大再生産の魅力も、この成長という部分です。
宝石の煌めきでは、発展カードの獲得によって、次回にカードを獲得する際の宝石が恒久的に少なくなるところが、これにあたります。
最初は高嶺の花だった高価な発展カードも、自分の手元を充実させていくことで、より簡単に、場合によってはタダで手に入る。
「こんなにいいカードがこんなに安く手に入った」と、バーゲンでお値打ち品をゲットしたようなうれしさがあります。
勝利への道とジレンマ
発展カードは、レベル1からレベル3までレベル分けされて並んでいるので、「このカードとこのカードを手に入れて、レベル3のあれを手に入れよう」と、高レベルカードを獲得して15点に到達する道筋を描いてい臨むことになります。
しかしながら、実際は目算どおりにうまくいきません。高得点のカードはみんなほしいもの。狙っていたカードを他人に横からとられてしまうことも。
そんなときのためにカードの予約システムがあるわけですが、ターンは消費するし、行動で手に入る宝石は1つだけなので、予約を多用するとライバルに出遅れてしまうことに。
「コツコツレベルの低いカードを集めて力をつけるか」「高得点カードの確保を優先するか」など、なかなかのジレンマがあります。
誰かが特定の宝石がついたカードを独占してしまうと、その宝石の希少価値が高まったりと、直接攻撃はないけども、プレイヤー同士のからみもそこそこあります。
他のプレイヤーとのバッティングやカードの引きもあり、思い描いた戦略どおりに進まず、臨機応変な対応を求められ、考えどころもしっかりです。
華はないが手堅い魅力
惜しむらくは、ユニークなシステムなどこのゲームを際立たせる要素が少なく、ちょっと地味なところでしょうか。
傑作ながら、ドイツ年間ゲーム大賞がとれずにノミネートにとどまったのは、もしかしたらそのあたりが理由かもしれません。
例えるなら、学校のテストで、98点、95点などとって、褒められている子がいる一方で、目たずに88点くらいをとっている子。
でも実は、全教科88点、89点で、総合では学年上位になっている。そんなイメージです。
華がないことを除けば、コンパクトにまとまっていて、拡大再生産ゲームとしてのバランスは絶妙です。
カードデザインはルネサンス時代ということで、一見とっつきにくそうですが、中身は子供でもすぐ理解できるシンプルなルール。
インド人オヤジのジャイプルも気に入っているうちの子は、見かけを気にせず楽しんでいます。
同じくシンプルな拡大再生産として、「街コロ」があります。見かけのとっつきやすさは断然街コロですが、海外ボードゲームらしい考えどころやジレンマは「宝石の煌き」の方が上だと思います。
www.boardgamepark.com
と
テーマ性やユニークさはないですが、安定した面白さでいい仕事をしてくれる感じの宝石の煌めき(Splendor)。
初心者や子供もOKで、2人でも楽しくなかなかオールマイティ。機会がありましたらぜひとも遊んでほしいボードゲームです。
30分程度でサクッと終わる中での十分な満足感、一度遊ぶと「もう一回」と繰り返し遊びたくなること請け合いですよ。
項目 | 公式表記 | コメント |
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年齢 | 10歳以上 | 5歳でも遊べました |
時間 | 30分 | |
人数 | 2-4人 |
項目 | 評価 | コメント |
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ルールの易しさ | ★★★★☆ | わりとシンプルです |
大人も楽しい | ★★★★☆ | 大人でも楽しい |
2人でも楽しい | ★★★★☆ | 2人でも楽しい |
総合評価 | ★★★★★ | 近年の傑作かも |