最近「グーグル アドセンス(Google AdSense)の審査に通らない」というブログ記事をよく見かけます。
また、これらの悩みに応える形で「アドセンス審査の仕組みと対策」「完全攻略AdSense審査」なるアドバイスや2ch書き込みも多いようです。有料コンサルティングまであるようです。
しかし、それらアドバイス記事を見ると「画像は使うな」「1,000文字記事を最低20」「プライバシーポリシーがないと落ちる」「PVが最低100平均200」だの、いろいろな情報が錯綜しています。
これでは正直何が正しいのか分かりません。中には、ちょっと古いのでは、怪しいのじゃないかという情報もあるようです。
結局のところ、グーグル側の審査基準が明らかにされていないので、すべて推測なんですよね。
自サイトの状況をあたかも審査基準であるかのように読み替え、「自分はこれで審査を通りました」を「こうすれば審査が通る!」としているわけです。
「溺れるものはワラをも」という審査が通らない人の不安心理を利用して、怪しげなコンサルで金までとるのは、なかなかアコギな商売です。
というわけで、このたび独自ドメイン取得したのを機会に、これら情報の検証をする実験台になってみようと、チャレンジしてみることにしました。
具体的には、新規にサイトを作成してアドセンス審査を申請。その際には「最低どれくらいのサイト水準で審査が通るのか」というギリギリでのボーダーラインを探ろうと試してみたわけです。
結果としての実際のサイトをそのまま残していますので、サイト自体も併せてご参考にしていただければと思います。
※なるべく客観的な検証に心がけましたが、どこまでいっても審査基準が明確でないなかの現時点での推論です。足りない点や私見が多分に含まれることに留意ください。
- はじめに~大事なのはとにかく「Google のポリシーに準拠」
- ネット上のアドセンス審査対策の真偽
- 独自ドメインでないとアドセンスが申請できない
- 申請用のブログを作っても、グーグルはバカじゃないから全く意味がない
- アクセスがないとGoogleは広告配信したくないから、最低毎日〇〇件のPVが必要。記事は毎日更新が必要。サイト開設間もないと落とされる
- 1記事あたり2,000文字以上の記事が20記事必要
- 日記など雑記系は価値がないから審査に落とされやすい。もっと良質な記事を書け!
- 他のサイトをコピーしていたり、引用で成り立つ記事はダメ
- 他のアフィリエイトを張ってはダメ。画像を張っていてはダメ。リンクがあるとダメ
- グローバルメニュー、問い合わせフォーム、管理者の詳細な自己紹介、プライバシーポリシーを揃えることが必要
- 一度審査に落ちたら厳しくなって落ちる。再申請はほとぼりが冷めてから
- 落ちても何度も申請すればそのうち通る
- ボーダーラインとして作った実験台サイトのご紹介
- 具体的な対策
- 最後に
はじめに~大事なのはとにかく「Google のポリシーに準拠」
Googleはスポンサーの広告を適切に掲載してくれる有益なサイトを求めています。
そのため、審査で一番重視しているのは「Google のポリシーへの準拠」ということは間違いないでしょう。
そのため、審査にあたってポリシーは一読しておいた方がよいと思います。
要するにポリシーに反し、「グーグルの広告価値を毀損してしまうサイト」については、厳しい対応となるわけです。
審査が落ちてしまった際には、広告代理店としてのGoogleの立場になって自サイトを見つめなおすと、対応のヒントが見えてくるかもしれません。
例えば、審査に落ちた際の不満として下記のような不満がよくありますが、Google側に立って考えるとこの帰結にも納得がいくかと思います。
まだまだ記事が少ない若いサイトが通って、こんなPVも読者もたくさんあるうちのサイトが通らないんだよ!
グーグルアドセンスは、成果報酬であり、PVが少ないサイトでもグーグル側の運営コストの影響が小さいので、PVの多い少ないはgoogle側には関係ありません。
ましてや、毎日100万PVあるサイトなら別でしょうが、Googleにとっては5PV/日も、5,000PV/日も目くそ鼻くそです。
審査に落ちた原因は、アクセス数やサイトの人気ではなくおそらく「Google のポリシーへの準拠」です。コンテンツが多いほどポリシーに違反するリスクも高くなるわけですね。
新規の承認はGoogleにも一定の責任が
さて、下記の2つの事例を比べて、どちらが広告提供元のスポンサーに対してのGoobleの責任が重くなるでしょうか。
- アドセンス審査が通っているサイトに、サイト管理者が不適切なコンテンツを追加した
- 不適切なコンテンツが従来からあるサイトを、グーグルがアドセンス審査を通してしまった
前者はサイト管理者側が違反を犯した事象であるのに対し、後者は「最初にOKしたじゃないか」と、審査を通したグーグル側にも一定の責任がでてきます。
したがって、初期段階での審査は必然的に厳しくなるわけです。
この裏を返すと、一度審査を通ってしまえば、以降については最初ほど厳しくないと、推定できます。
どこが原因で審査が落ちたのか具体的に教えてくれよ!
ポリシーに準拠しているかどうかについて、サイトをくまなく審査することは物理的に不可能です。
検索エンジン主体の1次審査はともかく、人間系による2次審査は、サンプリングによるチェックに頼らざるをえません。
サンプリングによって発見された不備は、氷山の一角。そこを具体的に指摘して特定部分を直されても、サイト全体の不備が修正されることにはなりません。
そのため、あえて不備の箇所を具体化せずに、一事が万事という通知で疑心暗鬼に陥らせて、より望ましいサイトへの改善を求めているわけです。
確かに、申請した方としては「何を対応すればいいんだよ!」となってしまいますが・・・。
ネット上のアドセンス審査対策の真偽
というわけで、ちまたで蔓延しているアドセンス審査対策の真偽について、検証してみました。
独自ドメインでないとアドセンスが申請できない
→正しい
昔はサブドメインでもよかったので、できるとしている情報もありますが、今は不可となっています。
古い情報をいくら追ってもしかたありません。きっぱり諦めてドメイン取得しましょう。
申請用のブログを作っても、グーグルはバカじゃないから全く意味がない
→嘘だけど替え玉は意味なし
申請したサイトが申請用ブログかどうかなんて、Google側には分かりません。
前述のように承認後の追加コンテンツについては厳しくないと想定されることから、申請用ブログでいったん通すのもそれなりに有効です。
ただし、グーグルがバカということではありません。アドセンス承認後も大量の追加・差し替えがあった場合には、再度追加の審査がされます。
したがって、「申請サイトはビジネス書の書評だったのに承認後はグラビアアイドルサイトになった」のような「替え玉受験」のような申請サイトでは、きっと再申請以上の厳しい審査を受けると思われます。
アクセスがないとGoogleは広告配信したくないから、最低毎日〇〇件のPVが必要。記事は毎日更新が必要。サイト開設間もないと落とされる
→全くの嘘
視聴者が多いところに広告を出したいというのは、紙媒体などの従来メディアでの発想です。
ネット広告は物理コストが小さいため、PVが多いサイトに広告を出しても、PVが少ない多くのサイトに広告を出してもコストはあまり変わりません。
したがって、PVは関係なく、記事の更新頻度やサイトの新しさなどの話も、同様の考え方から関係ないと思われます。
ちなみに、実験台サイトの1次審査通過後のPVです。
自分のアクセスしかないのではというくらい、わずかなPVです。
同じく2次審査通過後のPVです。トータルで通算3桁いきませんでした。
1記事あたり2,000文字以上の記事が20記事必要
→嘘だけど量は正義?
広告を配信するために、相応の「コンテンツがあること」その前提としての一定の文章量が必要ですが、2,000字は多いと思います、
実験台サイトをご覧いただくと、500文字いくかいかないか程度です。この量が1次審査時点で9記事。それほど文字数、記事数は必要ないことがわかるかと思います。
ただ、WELQ問題で露呈しましたが、文章量が多いほど、「コンテンツとして価値があると評価がされやすい」という点はあるようですね。
日記など雑記系は価値がないから審査に落とされやすい。もっと良質な記事を書け!
→根拠のない嘘
「日記は価値がない」「記事が良質かどうか」というのは、いったい誰がどこで判断するのでしょうか。
このようなアドバイスをする人は、「自分の記事は良質だ」と、上から目線でものをいう感じで、個人的には好きにはなれません。
日記でも読んで楽しい記事はたくさんありますし、私のブログはボードゲームの紹介がメインですが、興味がない人にとってはゴミ以下です。
実際に審査業務をする側の立場にたてば、「記事が良質」「役に立つ」などの、主観的かつ曖昧な基準で審査者にチェックさせることなんてできません。
「良質かどうか」は読み手の判断で変化します。大事なのはそこではなく「内容があるか」というコンテンツの部分です。
コンテンツ部分に不安な方は、自分の記事について、「今回の記事は何が話題だったかな?」と問いかけをしてみて、一言で言えれば問題ないくらいだと思います。
実験台サイトはボードゲーム紹介で一記事一ゲームとしましたが、お菓子の紹介や、車の紹介、おいしいお店など、おすすめ紹介系は記事のテーマが明確で客観的にコンテンツとして成り立ちますね。
他のサイトをコピーしていたり、引用で成り立つ記事はダメ
→正しいので要チェック
著作権に関しては、ポリシーでもうたわれていて、厳格な対応がなされると容易に推定できます。
注意すべきは、自分が書いた他のサイトのコンテンツのコピー。自分のコンテンツだから著作権として問題なくても、Googleさんには判別できません。
また、自分が意図しないところで勝手にコピーサイト、ミラーサイトが作成されていたり、記事の無断転載がされたりしていることが原因で落とされているのかもしれません。
「パクリサイトのせいでパクリ認定」されていないか、一度チェックしてみるとよいでしょう。
他のアフィリエイトを張ってはダメ。画像を張っていてはダメ。リンクがあるとダメ
→嘘だけど節度を持って
実験台サイトの画像の大半はアマゾン商品へのリンクで画像としましたが、審査を通っております。
(アマゾンアソシエイトにはサイト登録されていないので厳密な意味では広告ではないですが、Google側にはそこはわからないですね。)
ただ、画像だけになっていたり、広告がコンテンツの主となっていたり、サイトの実態をなしていない場合にはコンテンツの面で審査を通過しないことになります。
いずれにしてもコンテンツがしっかりあるかどうかであり、良識の範疇内で節度を持って使用していれば問題ないと思われます。
グローバルメニュー、問い合わせフォーム、管理者の詳細な自己紹介、プライバシーポリシーを揃えることが必要
→嘘だけど、プラスになるかも。
今回の実験台サイトには、いずれもないことから一目瞭然です。
グローバルメニューや、問い合わせフォーム、というのはあくまで個別の手段の話で、どれが必須・必要ということはありません。
一方で、ポリシーには「ユーザー操作を簡単なものにする」との記載があります。
サイト訪問者側からみて、サイトの見やすさや、アクセスのしやすさという、視認性・操作性は重視されているようです。
その観点でプラスになる機能であれば、手間がかからない範囲でつけていけばよいのではないでしょうか。
一度審査に落ちたら厳しくなって落ちる。再申請はほとぼりが冷めてから
→おそらく嘘
審査に落ちた理由は、Google側には記録されているはずです。その部分が改善されていなければ再度落ちるはずので、それで再申請が厳しく感じるだけだと思います。
逆に言えば、不適切な部分が改善されれば、すぐに再申請しても問題ないはずです。
まぁ、自分が審査する立場になると、心情的に「舌の根も乾かないうちに持ってきやがって!お前はあと回しだ!」となるので、もしかしたら若干はあるのかもしれませんが・・・。
落ちても何度も申請すればそのうち通る
→基本は嘘、だけどスルーする可能性も
仕事で「資料を作り直せ!」と怒られたとき、何もせずにそのまま寝かしておき、数日経ってから何食わぬ顔でそのまま提出。コレ意外といけるんですよね。
「不適切なコンテンツ」などが原因で、審査が不合格になった場合には、原因が記録されていると思われますので、何度再申請をしても結果は一緒でしょう。
一方で、人間系でのチェックなどは、記事をサンプリングして審査をしていると想定されます。
そのため、サンプリング結果に基づく総合判断での不合格については、次回の審査で再度サンプリングして違う記事が取り上げられればOKになるケースもあると想定されます。
ボーダーラインとして作った実験台サイトのご紹介
今回、実験台サイトとして新たなブログを作成してみました。
最終的には本サイトを移転させるつもりで作成。そのため、本サイトと内容とは路線が異ならず、しかもコピー記事とならないよう留意し、コンテンツとしては、これから書く予定のボードゲーム紹介記事の下書きを入れ込みました。
下書きレベルなので、誤字もまだたくさん。正直自分が内容を読んでもわからないメモ的な内容ばかり。
まぁ、結果してそれでも大丈夫だったわけですね。
これを見ると「記事の品質が足りない!」「最低2,000文字を20記事」「画像は使うな!」というアドバイスが、いかに根拠がないことがわかると思います。
このスカスカのコンテンツを見て「こんな内容でも審査を通ることができるんだ」と、審査にハードルを感じている人に勇気を与えられれば幸いです。
独自ドメインを解除したのと、1次審査時点で存在していた記事が分かるように後からカテゴリをつけましたが、それ以外は2次審査を通過した状態のままです。
審査合格までの流れ
2016/12/11 開設
サイト作成。ある程度記事がいるので、以降1日2記事くらい作成。
2016/12/16 1次審査申請→不合格
7記事記載したところで、1次審査にチャレンジ。
3時間ほどで不合格の通知。コンテンツがちょっと少なすぎたようです。
2016/12/18 1次審査再申請→合格→2次審査へ
10記事を下回ってもできるか確認したいということで、9記事になったところで、1次審査に再度チャレンジ。
おなじく3時間ほどたって合格の通知。
指定の広告コードをヘッダに張って、2次審査に進みます。
はてなブログでは「設定-詳細設定-headに要素を追加」からコードを貼ることになります。
アドセンスの管理画面では「最大で3日間かかります。」とのメッセージ。しかしながら、3日待ってものナシのつぶて。
もうちょっと記事増やした方がいいのかなと思って、19記事まで増やしてみましたが、正直これだけの数の記事は不要と思われますが、ここは検証失敗です。
どうやら最近では立て込んでいるのか、2次審査は3日で終わらず2週間ほどかかるのが普通のようです。それなら「最大で」なんて書かなきゃいいのに。ボーダーラインを探るつもりが無駄に記事を増やしてしまいました。
2017/1/1 2次審査合格
Googleさんは年末年始関係なく仕事をやっているのでしょうか、それとも新年にプレゼントしたかったのでしょうか。元日に2次審査合格の通知です。
2017/1/2 コンテンツ移転→再審査
これ以降は、審査用サイトを新規に作らない場合は関係ありません。
本サイトのドメインを、審査用サイトに書き換えてコンテンツの入れ替えを実施して再審査が来るかさらに実験です。
しばらくすると、なんの前触れもなくアドセンスの管理画面が再度審査中に。今度はメッセージが「最大3日」から「1週間程度」とメッセージの内容が変わっていました。
「審査後にコンテンツを大幅に入れ替えるのはけしからん。しっかり待たせてやる!」とのメッセージでしょうか。
2017/1/5 2次審査合格
何事もなかったかのように、再度承認のメッセージが届きました。これにて一件落着です。
具体的な対策
ネットでの怪しげな対策を実施するよりも「ポリシー対策」として、「子供や職場で同僚に見せても大丈夫」なサイトとなっているか、確認・修正が最優先です。
まずは、ポリシーに抵触しそうなNGワードを自サイトで検索すると、どこかの記事で引っかかるNGワードがでてくるかもしれません。
support.google.com
support.google.com
また、著作権関係では、youtube動画や、ディズニーの画像を貼っていないかなどチェックです。
最悪は以下のような対策で、問題の切り分け等をしながら対処していくといいかもしれませんね。
1)マイナス作戦~疑わしきは削除
審査において抵触しそうな記事を、とにかく下書きに戻してから承認後に徐々に公開します。
審査完了後に徐々に戻していくことで、再審査のリスクは当然ありますが、前述のとおり、事後チェックの方が緩いことで、結果OKになる可能性もあります。
また、徐々に戻していけば、仮に再審査となってしまった場合にも、その原因の特定と対処が可能となります。
2)ゼロベース作戦~審査用サイトを新たに作成
ゼロから作る今回の方法ですね。新たにドメインを取得する場合には特に有効かもしれません。
ただし、審査用サイトで通ったあとに、元のサイトから移行した際に、再審査を受けて落ちる可能性もあります。
今回は面倒だったので、一気に移しましたが、コンテンツを徐々に移していけば、1と同様に、原因の切り分けも可能となります。
3)コンテンツ移転作戦~新規サイトに元サイトの記事を移転
こちらも新たにドメインを取得する作戦。元のサイトから「審査にひっかかりそうもない記事」を10記事程度セレクトして、元からは下書きにもどしたり削除したりで、新規サイトに新規記事として移して審査を受けます。
ただし、元のサイトの情報から消してすぐだとコピーコンテンツとみなされるリスクがあるので、元から消したあとは一定のクーリング期間が必要かと思いました。
最後に
「アドセンスの審査は厳しくなった」とよく言われており、確かに以前よりは厳しくなったようです。しかし、今回実験サイトを作った結果、コンテンツ自体のボーダーラインは意外と低い印象です。また、ネットの対策法は怪しげなものが多いことがわかりました。
結局のところ、審査で落ちる原因としては「Google のポリシーに準拠」が一番怪しいようです。不適切とみなされる可能性がある部分をつぶしてさえいけば、審査をクリアーできるのかもしれません。
この記事がGoogleアドセンス審査と戦っているみなさまの一助となれば幸いです。