2016年のドイツ年間エキスパートゲーム大賞を受賞した、競りで獲得したタイルで領土の発展を目指すボードゲーム「アイル・オブ・スカイ:族長から王へ(Isle of Skye: From Chieftain to King )」です。
同名のスコッチウイスキーもありますが、スコットランド北西部にある、雄大な自然が有名なスカイ島(Isle of Skye)がモチーフになっています。
ライバルに競り勝ち領土を広げよう
ここスカイ島では5つの部族が覇権を争っている。領土を広げ最も発展させた者が島の覇者となる。
戦争?侵略?スカイ島の部族たちはそんな野蛮なことはしない。領土を獲得するには取引と交易だ。さぁ、部族を率いて智謀に長けた島の王を目指すのだ。
内容物
比較的コンパクトな箱のなかには、ゲームボードをはじめ、コンポーネントがぎっしりです。
円柱形のコマは6色で、プレイヤーコマが5つと、ラウンドカウント用のコマ。
タイルは、プレイヤーのスタート地点である城タイルと、領土をつくっていく地形タイル、得点獲得条件を示す得点タイルがあります。
タイルを獲得するための資金であるコインは10、5、1の三種類。
また、手斧の形をした捨てマーカー、プレイヤーの手元を見れないようにする、ついたてなどが入っています。
準備
ゲームボードを並べ、プレイヤーコマをスタートの0点の位置に置きます。
黒のラウンドコマは、ボード下部左側の第1ラウンドの位置に置きます。
盾のような形をした得点タイルを4つ引き、中央の4つの欄にランダムに置きます。これが、ラウンド終了時の得点獲得方法となります。
上記の写真でいけば、左から「A羊の数だけ1点」「Bワイン樽の数で1位:5点、2位:2点」が置かれました。
第1ラウンドは、Aと描かれているため、ラウンド終了時に羊の数が得点となります。
各プレイヤーは、捨てマーカーを一つずつもち、領土のはじまりとなる城タイルを手元に置きます。スタートプレイヤーを決めて準備完了です。
ゲームの流れ
収入の獲得、タイルの購入、領土の拡大、で1ラウンドが進行します。
8ラウンドにわたって、各プレイヤーは領土を広げていき、領土から得られる得点を競っていきます。
1)収入の獲得
各プレイヤーは自分の城の収入として5コイン、さらに自分の城と道でつながっているウイスキー樽あたり1コインを受け取ります。
下記の場合、城5と樽1で6コインもらえます。
なお、3ラウンド目以降は、格差是正のため、得点が自分より高いプレイヤーの数に応じてコインがもらえます。
2)地形タイルのオークションと購入
各プレイヤーはタイルを3枚ずつひいて、ついたての前に表にして並べます。このついたての裏で、このタイルの値付けをしていきます。
まず3枚のうち1枚を捨てタイルとして手斧の形の捨てマーカーをつけます。残りの2枚が販売用です。値段として好きな量のコインを置きます。
みんなが値付けを完了したら、ついたてを外し、値段公開です。捨てマーカーがついたタイルは取り除いて袋に戻します。
「え〜!これを捨てちゃうの?」「なんかボッタクリ価格じゃない?」など、公開時にはなかなか盛り上がります。
そして、スタートプレイヤーから順番に、コインを支払い他のプレイヤーのタイルを1枚だけ購入していきます。
一周回って売れ残ってしまったタイルについては、値付けに使ったコインは没収され、タイルを自ら引き取ることになります。
3)領土の拡大
引き取ったタイルは、自分の城をスタートに他の地形と接するように配置していきます。
配置する際には、山や水辺、平地については、同じ面が接してつながるようにしなければなりません。
ラウンド終了と勝敗
各ラウンドの終了時には、ラウンドごとに設定されている得点タイルに基づいて得点を計算します。
下記のラウンドでは、4マスの正方形あたり2点、完成した地形あたり1点です。正方形は2点×1つ、地形は山と平地が各1つ完成で2点の合計4点。
獲得した得点の分だけゲームボードで駒を進め、得点を記録します。スタートプレイヤーを交代し、次のラウンドがスタートします。
6ラウンドが終了したら、最終の得点計算です。
通常の計算に加え、配置した地形タイルに含まれている巻物がボーナス得点として加算されます。
巻物タイルは下記のように、船2つあたり1点、塔1つあたり1点、牛1つあたり1点、などがあります。
最後に、持ち金を5コインあたり1点で計算し、最多得点のプレイヤーが勝利します。
タイル配置+競り+セットコレクションでドイツゲームのいいとこ取り
パッと見た目で比較してしまうのは、やはりタイル配置ゲームの名作カルカソンヌ。同じヨーロッパの風景を作っていくという意味でも、テーマがそっくりですね。
www.boardgamepark.com
ただ、全員でひとつの街をつくるカルカソンヌに対し、アイル・オブ・スカイは、プレイヤーそれぞれで領土を建設していくところが違います。
また、カルカソンヌにはないアイル・オブ・スカイならではのシステムは領土タイルの競り、これがなかなか悩ましくも面白いです。
他のプレイヤーの地形を「湖が完成しそうだな」など横目で見ながら、相手が欲しそうなタイルに高めに値付けし、資金を集めて自分の欲しいタイルを購入していきます。
作戦がうまくいけばいいのですが、購入予想が裏目にでて誰も買ってくれないと、必要ないタイルを自腹で高く引き取る羽目に・・・。
ただ、自ら購入できるのはラウンドにつき1枚だけなので、売れ残ったタイルの自腹引き取りも、実は領土を広げていくにはそこそこ大事です。
逆に地形タイルが売れすぎてしまって、お金はあるけど引き取るタイルが少なく領土が広がらないという変な状況に陥る場合もあります。
自分で3枚のタイルを引きますが、結局のところ思い通りになるのは捨てタイルくらい。他のプレイヤーの動きを想定して、売れるか引き取るのかを判断。「売るなら高値がいいけど、自分で引き取るなら当然安値がいい」というなかでの値付けが悩ましいです。
ドイツ年間エキスパートゲーム賞は、ボードゲームの熟練者向けの賞として位置付けられるため、受賞作には複雑で初心者に敷居が高いボードゲームが多いです。
しかし、このアイル・オブ・スカイは、なぜかルールも比較的簡単でプレイ時間的にもライトなボードゲームに位置づけられます。
玄人受けするのは戦略や思考の深さでしょうか。得点条件が常に変化していくなかで、展開を予測して「どんな風に領土を広げようか」と、先読みした戦略をとらなければなりません。慣れるまでは、同じ得点タイルを継続使用して固定しておくと入りやすいかもしれません。
さらにはライバルとの競り。相手の行動を予測しながら、「高く売って安く買う」で、欲しい地形タイルを手に入れていきます。タイルの引きは運ですが、実態はその後の競りでの駆け引き勝負になってしまう奥深さです。
一見して、好きなように自分の領地を築いていくソロプレイ感が強いゲームにみえますが、競りの要素でプレイヤー間のからみは濃厚。
カルカソンヌのような箱庭的要素をはじめ、いろいろなボードゲームのシステムのいいとこどりをしたような印象です。
2017年4月に日本語版も出たので現在は入手もしやすくなりました(言語依存はないので海外版でもルール以外問題はありません)。
運と戦略とコミューニケーションのバランスがよく、毎回違った展開で繰り返し遊びたくなる、ドイツゲームらしい魅力にあふれたボードゲームです。
項目 | 公式表記 | コメント |
---|---|---|
時間 | 30-60分 | 人数と長考次第 |
人数 | 2-5人 | 3人以上がいいかも |
年齢 | 8歳以上 | 6歳くらいから何とかできるかな |
項目 | 評価 | コメント |
---|---|---|
ルールの易しさ | ★★★☆☆ | いろいろあるが複雑ではない |
大人も楽しい | ★★★★☆ | 大人が楽しめる |
2人でも楽しい | ★★☆☆☆ | 競りは3人以上いたほうがよいかも |
総合評価 | ★★★★☆ | 繰り返し楽しめるゲーム |
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