ボードゲームを語るうえで、なくてはならないメカニクスに「デッキビルディング(デッキ構築)」があります。
デッキビルディングとはデッキとよばれる自分専用の山札をもち、カードを購入して自分が使えるカードを強化していく仕組み。不朽の名作「ドミニオン」をはじめ数多くのボードゲームで採用されている人気のメカニクスです。
ただ、本ブログではデッキ構築型のボードゲームはまだ登場していません。というのも、デッキビルディングは初心者にとって若干敷居が高いからです。
仕組み自体は難解ではないのですが、たくさんの種類のカードから選択してデッキを作るプロセスが「何をやったらよいかわからない」という見通しの悪さとしてハードルになるようです。
前述のドミニオンも、わが家ではボードゲーム慣れしている子供は遊びますが、妻はからっきし。
そんなデッキビルディング型ボードゲームの敷居を下げてくれるボードゲームが、今回紹介するレースゲーム「エルドラドを探して(The Quest for Eldorado)」です。
2017年ドイツゲーム大賞ノミネート作品の有名作ですが、2020年6月に日本語版が登場し国内でもようやく入手が容易となりました。
黄金郷エルドラドへ一番乗りする探検家は誰だ?
テーマと目的
ここは南米の奥地。密林の奥に伝説の黄金都市エルドラドがあり、そこには莫大な財宝が眠っているといわれています。
あなたは黄金都市を探す探検家。探検隊を組織して、メンバーの能力を活用しながらジャングルをかき分けエルドラドへの一番乗りをめざします。
内容物
「エルドラドを探して」で特徴的なのはタイル。タイルというよりむしろボードですが、これを組みわせてゲームボードをつくります。
探検カードは、市場として使う18種x3枚の54枚スタート時のプレイヤーカードとして8枚x4人分の32枚で合計86枚。
基本で200枚くらいのデッキビルディングの中ではかなり少なめの枚数です。
コマは2人用では2つ使うので4色x2個の8個。
空条承太郎に似ているといわれる青コマをはじめ、色ごとにシルエットが異なるのは芸が細かいです。
準備
スタートタイルととゴールボードの間にタイルを組み合わせ、ゲームボードを作ります。
両面使えるタイルの組み合わせ次第でいろいろな形のコースができます。
54枚の探検カードは種類別に6行3列に並べ、カードを購入するための市場とします。
プレイヤーはカラーを決め、コマとプレイヤーボード、開始時探検カード(探検家3、旅行者4、船員1)を受け取ります。カードはシャッフルして5枚を手札として残りを山札とします。
コマをスタート地点に置けば準備完了です。
エルドラドを探してのルールとゲームの流れ
ゴールである黄金卿エルドラドにいち早く到着することが目的のレースゲームでです。
ゲームは時計回りに順番に進行し、写真のような、自分の前の山札、プレイエリア、捨て山の3つのエリアと手札を使って手番を実施します。
手番やることは3段階。「1カードのプレイ」「2捨て山への移動」「3手札の補充」で進行します。
1)カードのプレイ
手札から任意のカードをプレイエリアに出すことで、コマを移動させるか市場のカードを購入することができます。
カードにはそれぞれ特徴があり、上の船長をプレイすればオールの描かれた水辺の地形をオール3個分移動することができます。
ボードにはさまざまな地形があり、地形を通過には対応したカードが必要となります。
カードの購入はコインシンボルがついたカードをプレイします。その他のカードで代替する場合は数字1あたり0.5で換算して、市場からカードを受け取ります。
カードの購入は1ターンで1枚だけ。購入したカードは手札ではなく捨て山におきます。
2)捨て山への移動
プレイエリアにある使用済のカードを捨て山に移動させます。
3)手札の補充
手札が5枚になるように山札からカードを補充します。山札が尽きてしまったら、捨て山にあるカードをシャッフルし、山札をつくります。
勝敗
最初にゴールに到達したプレイヤー(2人の場合は両方のコマが到着)が勝者です。
デッキビルディングの入門にぴったり
強力なカードでデッキを充実させるべきか、先を急ぐべきか・・。デッキビルディングの楽しい悩ましさはもちろん健在。
カードを増やしすぎると、「カードが多くて良いカードがなかなか引けない」という問題が発生します。デッキ強化にあたっては、カードの選択と集中が重要です。
地形の「キャンプ」に行けば、ボードゲーム用語で「デッキ圧縮」と呼ばれる、効果の低いカードを処分することもできます。
少数精鋭の効率良いデッキを目指してカードのやりくりをしていくわけですが、あくまでレースゲームであり目的は最初にゴールに到着すること。
スタート近くでデッキの充実を図っていたら、着実にゴールに向かって進むプレイヤーに負けてしまう、ウサギとカメ状態になることもあります。
さてこの「エルドラドを探して」がデッキビルディングの入門にぴったりな理由は2つ。
- ゲームボードによって集めるべきカードと進捗の見通しが可視化
- カードにテキストが少なく効果がシンプル
初心者が抱く「何をしたらよいかわからない」見通しの悪さは、
「ジャングルルートで進もう。緑のカードが大事だな」「相手より遅れているぞ、ボチボチ進まないと」と、ボードを通じて進捗と展望が視覚的に認識しやすくなっています。
また、「たくさんカードがあって何をしたらよいか分からない」というデッキビルディング固有の課題も、種類が固定で(マップに応じてカードの相対的な価値が変動)、説明量が少ないシンプルなカードのおかげでかなり解消されています。
初心者をボードゲームの王道デッキビルディングに引き込むにはもってこい。個人的には名作ドミニオンを遊ぶ前にエルドラドを遊んでほしいと思える、分かりやすくデッキビルディングの魅力を堪能できるイチオシのボードゲームです。
項目 | 公式表記 | コメント |
---|---|---|
年齢 | 10歳以上 | 8歳くらいからできるかも |
時間 | 30分 | |
人数 | 2-4人 | |
日本語化 | 不要 | 若干テキストあるが |
項目 | 評価 | コメント |
---|---|---|
ルールの易しさ | ★★★★☆ | 比較的簡単 |
大人も楽しい | ★★★★★ | 大人も子供も |
2人でも楽しい | ★★★★☆ | 2人でも十分 |
総合評価 | ★★★★★ | デッキビルディングの入門に |