近頃Amazonで格安で売られているボードゲーム「魔法使いの修行の旅(Wizards Wanted)」。
認知度が高まってきたとはいえ、まだまだ市場が小さいボードゲーム業界。市場規模の小ささゆえ、テレビで紹介されると注文が殺到してプレミアム価格となってしまったり、逆に生産分が売れず投げ売りになったりします。
需給ギャップの影響があるので、必ずしも「プレミアムが付いているから面白い」「投げ売りされているから面白くない」とはいえません。しばしば格安ボードゲームに掘り出し物が見つかることも。
というわけで、今回の「魔法使いの修行の旅(Wizards Wanted)」は、格安で手に入れて意外に楽しかったボードゲームのひとつです。
原題の"Wizards wanted"は「魔法使い求む!」という意味。魔法で人々を助けながら優秀な魔法使いを目指します。
一流の魔法使いを目指し王国を旅しよう
テーマと目的
君たちは見習い魔法使い。魔法の修行をしながら王国を回り、人々を魔法で助ける旅を続けています。
村を回って人々の名声を集め、誰もがみとめる王国一の魔法使い目指します。
内容物
このゲームの特徴はさまざまなコンポーネント。たくさん入っているだけで何となくお得感です。内箱はきれいに収納できるよう仕切られています。
四つ折りのゲームボード、透明なクリスタル状のものがピクシーダスト、数字の1と5が記載されているものがのものがコイン。正方形状のものがチャーム、赤い円形がマッシュルームです。
カードは、魔法の仕事カードと魔法のライセンスカードの2種です。
プレイヤーはそれぞれキャラが設定されていて、コマはフィギュア型。さらに、プレイヤーボードと得点記録用のマーカーがあります。さらにNPCコマとして森の妖精、放浪の山の妖精があります。
準備
ボードを広げて周囲にはコインとピクシーダスト、マッシュルームをストックとして置きます。
各プレイヤーは好きなプレイヤーボードと、30のピクシーダストを受け取ります。
その他の配置は以下のとおり。
- 得点マーカー:ボード隅の0の位置
- プレイヤーコマ:ボード上の8つの村のいずれかに
- 森の妖精:商店の中央
- 放浪の山の妖精:1の石碑の位置
- ロイヤルチップ、ライセンスカード:ボード中央の王宮
- 魔法の仕事カード:8つの村に配置し残りは山札
お約束のスタートプレイヤーは「一番最近きのこを食べたひと」です。
魔法使いの修行の旅のルールとゲームの流れ
魔法の国を旅をしながら、各地の村で魔法使いとして活躍していきます。チャームを増やして魔法の力を高めながら、仕事をして得られる名声(得点)を集め、魔法使いとしての名声を競います。
手番は自分のコマを進めて移動先のイベントを実行する、すごろくのようなイメージです。
基本的な概念
まずはこのゲームの勝敗のカギになる4つの概念を理解しましょう。
- ピクシーダスト:魔力の源
- チャーム:魔法のスキル
- コイン:通貨
- 名声:得点
遠くへの移動や仕事など、魔法使いとして力を使うにはまずピクシーダストが必要です。チャームは魔法のスキルで4つの属性があり、たくさんあると仕事の幅が増え報酬も期待できます。コインは仕事で得られ、ピクシーダストの購入や移動のために使うことができます。
最初はピクシーダスト30とプレイヤーボード上のチャーム1個でスタート。これらを増やしていけばやれることが増えていくわけですね。
移動
手番ではまず移動をします。すごろくと異なるのはサイコロまかせではないところ。現在の位置から自由な方向に5マスまで移動できます。
ただし、遠くに移動する場合にはピクシーダストを消費します。逆に1歩しか移動しない場合には、ピクシーダストを獲得できます。
魔法の鳥タクシー
魔法の鳥に出会ったら、2コインを払って次の鳥のタクシーの停留所まで移動をすることができます(タクシーというよりバスですね)。
テレポートの岩
ボード四隅の「テレポートの岩」に止まると、10ピクシーダストで別のテレポートの岩まで一気に移動することができます。
テレポートの岩は移動手段以外にもとても重要。行き先のテレポートの岩にあるエレメントチャームを1個獲得することができます。エレメントチャームは仕事に不可欠なのでたくさん利用しましょう。
各地を旅する放浪の山の流浪の妖精に出会うと、ワープポイントと同じく別のワープポイントに飛ぶことができます。
森の妖精の店
商人がいるお店についたら、コインを使ってピクシーダストを購入することができます。
誰かが購入するたびに森の妖精が移動して交換レートが変動します。レートがいいときにたくさん手に入れましょう。
王宮
王級は特別な場所。ゲーム終了後のボーナスとなるロイヤルシールをもらえます。
さらに「チャームが4種類揃っている」「ピクシーダストが50以上」など条件を満たしていれば、一人前の魔法使いの証である「魔法使いライセンス」を獲得することができます。
村での仕事
村に止まると、魔法で住民を手助けすることができます。カード下に記載されたチャームを保有していて、カード左上の量のピクシーダストを消費することで、仕事をすることができます。
仕事の完了でコインと名声を獲得することができます。なお、必要なチャームを複数個もっている場合には、高品質の仕事ができた報酬で超過チャーム数x1のコインと得点を獲得します。
「木の上のヤギの救出」「甘い雨のお祭り」「野菜を大きくする」など、様々な仕事がありそれぞれ必要なチャームとピクシーダストの量が異なります。自分のチャームで実施できて報酬が高い仕事を探していきましょう。
ゲームの終了と勝敗
魔法の仕事カードを補充する際に、ロイヤルインスペクターカードが出ればその時点でゲームは終了です。
ロイヤルシールなどのボーナス得点を加点、魔法使いライセンスをもっていない人は減点し、得点が最も高い人が勝者です。
格安なら買いの掘り出し物ゲーム
ピクシーダストやチャームを集めて仕事を遂行し、コインでピクシーダストを集めてさらに大きな仕事をする。できることが広がっていく拡大再生産的な要素のあるゲーム。
ファンタジーな世界感と様々なコンポーネント。すごろくのように気軽に楽しめて、いい意味での期待外れでファミリーで楽しめました。
このゲームのマイナス点は、子供がターゲットになりそうなのに標準プレイ時間が60分とかなり長めなところ。さらには要素がてんこもりでルールの理解がしづらいです。
かといって、プレイヤー間のインタラクションは少なく考え所が少ない「すごろく的」ゲームなので、ボードゲーム愛好家向けでもなし。このあたり初心者泣かせで上級者が満足できないターゲットのあいまいさが売れなかった理由でしょうか。
特に子供はルールをちゃんと理解できて楽しめるようになる前に飽きてしまうリスクがあります。慣れるまで魔法の仕事カードを減らしてゲームを短くすること、事前にゲームルールを予習して理解している大人がサポートすることが大事です。
あとはマニュアルが分かりにくい。一般には翻訳の質が悪い原因が多いのですが、本作の場合は海外版ルールから不明確。有志でルール明確化の解説をしているサイトを必要に応じて参照するとよいと思います。
blog.livedoor.jp
マイナス面も書きましたが、最終的に安いは正義。本作を「がっつりと楽しめるすごろく」と考えて楽しめるターゲット層に自らなればお得感満載です。
例えるなら学生街の大盛り定食屋さん。味はそこそこだけど安くてお腹いっぱいで幸せになれます。
Amazonの価格は常に変動し在庫がはけたら定価に戻ると思いますが、もし2,000円以下のカードゲーム並みの価格で売られていたらチャンス。コスパに優れた掘り出し物のボードゲームです。
項目 | 公式表記 | コメント |
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年齢 | 10歳以上 | 8歳くらいからできるかも |
時間 | 60分 | |
人数 | 2-4人 | |
日本語化 | 不要 | 説明書のみ |
項目 | 評価 | コメント |
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ルールの易しさ | ★★★☆☆ | 見かけよりは複雑 |
大人も楽しい | ★★★☆☆ | どちらかといえば子供向け |
2人でも楽しい | ★★★★☆ | 2人でも楽しめる |
総合評価 | ★★★☆☆ | 2,000円以下なら買いかも |