6:30ミッション
「スーツケース?そんなものないな。」私は、とりいそぎメールで報告しました。
「もしかして、誰かに先に回収されてしまった?困ったな。」
と、そのときに、視界の反対側に目が止まりました。
あ、あれだ!
道路の反対側にあるゴミ捨て場の隅に、確かに発見。長期旅行に使うかなり大きいスーツケース。
私は周囲に誰もいないことを確認し、軍手をはめてスーツケースを持ちました。
「かなり重いな・・・」
とにかくスーツケースを車に載せ、車に乗り込みます。
「スーツケース発見、回収完了。」とメールを打ち、いそいで帰途につきました。
6:00はじまり
「いま何時?休みなのに、一体なに?」
早朝6時。前日まで残業続きで、やっとの週末です。
もう少し寝かせてほしいところを起こされた私は、眠い目をこすりながら、精いっぱいの抵抗をしました。
「今すぐこれを持って、車で○○駅まで行ってきてくれる?事情はあとで話すから。よろしくね。」
と、いきなり軍手と車のキー。
「なんだかよくわからないけど、とりあえずわかったよ。」
反論できるほど頭が覚醒してなかった私は、
言われるがまま、着の身着のまま駅まで車を走らせることになりました。
駅に到着すると、メールがきていました。
「そこからちょっと南にいった、マンションの横のゴミ捨て場に、大きなスーツケースがあるはずだから、軍手をはめて車に乗せてもってきてきて。」
7:00帰還
帰宅してようやく目が覚めてきた私は、このよくわからない事態の事情を聞くことにしました。
朝早くに妻の友人から連絡があり、
「新婚旅行へ出発するために、いま空港についたところ。
出発直前にゴミを捨てていったら、ゴミ捨て場にスーツケースを忘れてしまった。
ゴミで回収されたり盗られたりすると困るので、悪いけど引き取ってきて、旅行から帰ってくるまで預かっていて欲しい。」とのことり
「それ、ゴミ捨て場にあったトランクでしょ。玄関に新聞を敷いたから、ちゃんとその上に置いてね。」
ということで、わが家の玄関で荷物を預かることになったのです。
所有者は、トランクなしで浪漫飛行へというわけです。
私の知り合いには、新婚旅行にパスポートを忘れて空港から門前払いされて帰った、という強者もいるので、手ぶらでも旅行に飛び立てられるだけまだマシですが、かなりのやらかしようですね。
新たな門出からの大トラブルに、深まったのは2人の仲か、それとも溝なのか、気になるところですが、単なる運び屋の私には、知るよしもありません…。