「わたしの牧場に、ウマの赤ちゃんが産まれたから、子馬のコマを置くね。」
娘と一緒に遊んでいたのは、牧場で動物を育てていくボードゲーム「アグリコラ:牧場の動物たち(Agricola:All creatures big and small)」です。
- 出版社/メーカー: ホビージャパン
- 発売日: 2012/12/01
- メディア: おもちゃ&ホビー
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動物を増やしていけば、子供が産まれて動物のコマが増えていくのですが、残念ながら、子馬なんてコマはないはずなのです。
よくよくその木製のコマをみると、子馬ではなく、脚が折れてしまっている馬のコマでした。正常品と比較すると一目瞭然です。
折れた状態で色が塗られているわけですから、後から折れたわけではなく、製品不良です。
そこで交換してもらえないかなと、このボードゲームを発売している会社のサポート窓口にメールで連絡をしました。
インターネット通販での返品交換対応
ここのところ、なぜか製品不良で返品交換対応に出会ってしまうケースが多いです。
少し前にも、楽天ブックスで、続きものの本を4冊購入したら、最初の1冊がページが破れて取れそうになっていました。
よりによって最初の1冊じゃ読めないじゃないか!
さっそく交換をお願いしましたが、新品を購入するときはすぐ届くのに、交換品が届くまでにはなぜか時間がかかるんですよね・・・。
不良品の対応は、店によって方針がずいぶん違います。
「不便をおかけしました」と、先に正常品を送ってくれるお店のもあれば、「こちらで不都合の真偽を確認してから対応するのでまず送付してくれ」と不手際の割に高飛車なお店も。
いままでの経験上、おなじインターネットショップでも、実店舗も構えているお店のほうが、迅速丁寧にやってくれるような気がします。
やはりネットショップのみだとフェイストゥーフェイスで顧客と相対していないから、顧客の立場にたったり気持ちを考えるのが難しいのかもしれません。
サポート部門は売り上げに直接貢献しないという理由で、経営資源を割かないところも多く、問い合わせダイヤルにつながらない、問い合わせメールの返信がなかなか来ない会社もザラです。
でも、個人的にはトラブルサポートは、その後の顧客の購買行動に大きく影響すると思うんですよね。
冒頭のコマの不良も、返信がぜんぜん来なかったり「不良品ではなくて製品の仕様です。」なんて冷たい対応をされた日には、「そこの製品はもう買わない!」と思ってしまうでしょう。
一方で、不良品が届いたけれども、その後の返品交換の対応が迅速適格だったショップには、好感を抱いてしまいます。
交換品と一緒に、手書きのおわびが一筆書いてあっただけで、なんだか申し訳なくなり、そのお店のリピーターとなってしまう場合もあるから不思議です。
トラブルからのリカバーで好印象
よくよく考えてみると、不良品を掴まされて、それをあるべきところまで正してもらっただけ。ある意味当たり前の話。
わざわざ連絡する余計な手間もかかり、さらには予定通りに品物を届かないという意味で、時間的なロスも。トータルでいけば、むしろ損をしているわけです。
でも、きちんとした対応をしてもらうと、損をした気分にならず、むしろうれしくなることも。
営業の世界ではクレーム対応から新たな契約につなげる「タダでは起きない」姿勢も大事といいますが、トラブルリカバーは上手くやれば顧客の心理にプラスになるようです。
人間は不安状態からの安心を求めている?
マイナスがゼロに戻っただけなのに、プラスの感情を抱くというのは、なんとも不思議な人間の心理。結局のところ相対評価をしているんでしょうね。
相対評価でポジティブな感覚を抱いてしまう場面は、意外に私たちの身近にによく登場します。
音楽のコード進行
個人的には勉強を途中で挫折してしまった音楽の学理ですが、コード進行のなかにも不安と安心が登場します。
音楽のコード進行の基本は、「解決進行」、不協和音で緊張感と不安な気持ちを与えてから、その次の安心する響きの協和音で心を落ち着かせる、心理的な仕掛けで成り立っています。
協和音だけの曲は安心する響きではありますが、ずっと続くと退屈で逆につまらない。
心地よさを感じるためには、その前にいったん不安さが必要なわけですね。緊張感と安心感の繰り返しで、曲が展開し盛り上がっていきます。
雨降って地固まるストーリー
昔話の桃太郎。
桃から産まれた桃太郎。幸せに暮らしただけでは、つまらない。
村人を困らせる鬼がいて、それを退治するから、そのあとのハッピーエンドが引き立つわけです。
ハリウッド映画もそうですね。
凶悪な敵が現れて世界を混乱に陥れる。主人公たちは協力して巨大な悪を倒す。世界は平和、アメリカ万歳というわけです。
安心感を感じるためには、その前の不安・緊張感が不可欠というわけですね。
今考えると、私のプレゼント交換でのマイナスは、その後のリカバーでプラスになったのかも???
寛容さがなくなってきた現代では、リカバーにもスピードが大事?
クリックすれば物がすぐに届いて、スマホを通じてどことでもリアルタイムのコミュニケーションが当たり前になった現代。
最近の世の中では、トラブルの場合はすぐに安心させないとマイナスがどんどん累積されてしまうかもしれません。
電力会社に勤めている知り合いの言葉を思い出しました。
会社に入ってすぐの頃、年配の女性から一本の電話を受けた。
「あの・・・。家の電気がつかないんです。」
「停電ですか。それはいつからです?周りのおうちは電気ついていますか?」
「たしか先週の月曜日には、ついていたんですが・・・。1週間も電気がないと不便なもので、そろそろつけていただけないかと・・・』
笑うかもしれないけど、昔はみんなこんな感じ。のんびりしていてよかったなぁ。今や、30秒停電しただけで、「PC消えたじゃないか!」「熱帯魚が!」と電話が鳴りやまない。
確かに、子供の頃は停電もそんなに気にしなかったなぁ。便利になって、私たちはせっかちになっているのかも。
すぐ届く便利さに慣れて「当日に届くんだから、返品対応も当日だよな」と、思ってしまいます。
便利で忙しい日々を過ごしながら、昔の人とよりも寛容さを失っているのかもしれなません。
・・・と、思いつつも、「まだ来ないかな」と、サポートセンターからのメールをチェックする私。