待機しているのに待機児童にならない不思議
私の住んでいる自治体は子育て支援に力を入れているそうで、保育園に入れない待機児童がゼロと毎年公表しています。「待機児童ゼロだなんてすごい!」と、他の地域に住んでいる人からは羨ましがられることも。
しかしながら、うちの下の子は保育園に入所できず事実上待機状態。昨年に29年度4月入所の申請を出してから、29年度期中入所、30年度4月入所と3回の申し込みをし、かれこれ1年以上が経過しています。
待機児童ゼロの自治体で待機児童?このヘンテコな状況のからくりは、自治体のカウントにあります。
「特定の保育施設を希望して、その施設に入れなかった場合には、『保育所に入れるけど入らない自己都合待機』とし待機児童に含めない」と、待機児童数を定義しているのです。
「特定の保育施設」といっても、選り好みをしている訳ではなく、遠方の保育施設や保育対応時間が短い施設は困難なので、物理的に送迎が可能な保育施設を志望しているだけ。
実際に「どこでもいいから保育園に」との入所希望を出し、遠方の保育施設に決定。送迎ができず結果して早々に退職した人を目にしたことがあります。
どこでもOKは、よほど交通アクセスが充実しているところに住んでいるか、勤務時間が短いなど限られた人しかできないのではと思います。
こうしてわが家のような世帯は、待機児童のカウントから外され「隠れ待機児童」と呼ばれています。隠れているつもりはないんだけどな・・・。
自治体担当者に保育所の入所の可能性状況を聞くと、「順位などの具体的内容は申し上げられませんが、ご希望の保育所には、それぞれ5名以上の方が待機されていますので、空きはでないかもしれません。」と、現時点では望み薄。
ちょっとまて。一学年で5人も待機?保育園全体、自治体全体では何人が待機しているの??
これでよく、待機児童ゼロが言えるもんだなぁ。「隠れ待機児童」というよりも、「待機児童隠し」ですね。
なお、このような自治体による数字のマジックでの待機児童数に業を煮やしたのか、政府主導で2018年度からは待機児童の定義がされるようになったようです。
まぁ、待機児童の数に入るか入らないかはどうでもよくて、保育園に入るか入れないかが大事なんですけどね。
妻が勤めている会社の育児休業期間は1年半、保育所に入れない場合は2年までの延長が認められています。ようやく公的に2年となったばかりなので、比較的恵まれていたかもしれません。
上の子のときは保育所に入れて1年で復帰。今回の下の子は、保育所に入れなかったため2年に育児休業期間を延長しています。
その育休期間は2019年2月まで。今年もあとわずかとなり、とうとう2年のタイムリミットが近づいてきました。
保育園に入所できそうな4月までの1か月をどうつなぐか
期中での保育園入所は、誰かが引越しで転園するなどした場合の空き狙い。待機している家庭が他にもいるようで(待機児童ゼロなのに)、わが家が入れる可能性は低いようです。
狙い目は4月。4月入所は卒業や引っ越しなど出入りがたくさんあるので、通常よりも枠があきやすい状況にあります。
ただ、育休期間は2019年2月まで。育休期間は切れてしまうため、2018年3月のひと月をなんとかつなげば、4月からは晴れて保育園に入所できるかもしれません。
というわけで、3月に復帰して4月までの1ヶ月をどのように過ごすかを、夫婦で話し合っているところです。
1)両親に子供の面倒を見てもらう
通常の家庭ならこれを選択するところですね。
残念ながら両親は片道4時間を超える遠方に住んでおり、いずれも健康ではないため非現実的。これまでも出産や上の子の育児でも、全く頼りにはできませんでした。
2)休暇や欠勤扱いで会社にはいかない
復帰して早々「有給休暇で休みます!」宣言をして休むわけですね。
そんなことを許してくれる優しい職場なら良いのですが、残念ながらその可能性はなさそうです。
最悪「保育園がないので休ませてくれなきゃやめます!」と、背水の陣で交渉する価値はあるかな?
と、思っていた矢先、妻の会社「従業員の削減」を打ち出していました。こりゃ、厳しそう。
3)無認可施設やベビーシッターを雇って繋ぐ
無認可施設はうちの近所にはなさそう。ベビーシッターなら来てくれるから対応できるでしょうか。
問題はコスト。ベビーシッター代を払ってペイできるほどの給料はないので、当然足が出てしまいます。給料のために復帰するのに、赤字じゃ意味ないですね。
でも、短期的なら…。
4)会社に子供を連れていって働く
少し前に子供を議会に連れていった議員さんが話題になりました。
家族経営のアットホームな会社なら別ですが、普通の会社でそんな自分勝手なことをすれば、就業規則違反で間違いなく処分されるでしょう。
パフォーマンス以外には効果がない非現実的な作戦です。
5)父親が休職する
これができればいいんだけどな。出張続きの今の仕事では、保育園の送迎すらままならない状態。
私の勤める会社も男性の育児休職制度が一応あります。一応というのは、浸透していないから。
というのも「男性が休んでも職場の要員補充はなし」という制度だから。職場の同僚に迷惑が降りかかるから誰も使えないんですよね。
「人事部門に男性で育休をとったやつがいる」そんな噂を聞いて、ダメ元で本人に聞いてみました。
「いやぁ、育休といっても1日ですよ、1日。取得したという実績づくりです。」使えない!
うーん、どれもなかなか厳しそう。この中では現実的なのは3のベビーシッターしかないでしょうか。足は出ても1ヶ月の短期なら仕方がないですね。
役所からの衝撃の宣告
さて、そんなタイムリミット後の相談を毎日している最中、役所から電話がありました。
「○○役所の子供課のものですが、保育園の申し込みについてご連絡です。」
もしかして期中入所が決まった?
青天の霹靂です。
・・・いやいや、ぬか喜びをしちゃだめだ、先日出した30年度入所の書類に不備があった連絡かも。
「え~。現在の29年度の入所申請に加え、今回改めて30年度の入所申請書いただき、確かに受領しました。」
「その申請書に関してですが、育児休業は3月頭で終わることになっていますね。」
「育児休業が終わるということは、その時点でなんらか保育園を利用せず復帰しているか、退職しているかのいずれかです。」
「したがいまして、育児休業からの復帰扱いにはなりませんので、ご了承ください。」
「それはどういうことですか?」
「ご存知の通り保育施設の入所については点数制です。新たに就職を希望される方や他の施設に預けて仕事をされている方よりも、育児休業から復帰する方への加点を高く設定しております。よって、ルシュールさんの4月入所に関しては現状より大幅に点数がさがり、優先順位が後になるということです。」
点数が下がる・・・。ずっと入れなかった今より・・・。
誰のせいでずっと待機してきたんだよ!ずっと待っている分ポイントアップしてほしいのに、ポイントダウンとは!
必死に抵抗しましたが、役所に融通なんて言葉はありません。
4月入所に向けて検討していたところが、奈落の底に突き落とされてしまいました。
何よりつらいのは、新卒からずっと勤めあげた会社を、自分の意志ではなく待機児童生活がタイムリミットに到達したことにより自己都合退職で辞めないといけなくなるかもしれない、妻の方でしょう。
万事休すです…。