先日2019年のドイツ年間ゲーム大賞が発表され、ワードゲームの「JUST ONE」 が大賞を受賞しました。
流行に鈍感な私は残念ながらまだ遊んでいません。というわけで、周回遅れの2018年ドイツ年間ゲーム大賞の「アズール(AZUL)」です。
タイトルのAZULはポルトガル語で「青」。白と青が基調の装飾タイルアズレージョ(Azulejo)をモチーフにしたボードゲームです。
王宮をタイルで装飾しよう。
テーマと目的
スペインのアルハンブラ宮殿に魅せられたポルトガル王は、自分の王宮であるエヴォラ宮殿のの壁面をタイルで装飾するように命じました。
あなたはタイル職人。王宮の壁を色とりどりのタイルで装飾して、ライバルに負けない名声を獲得しましょう。
内容物
ゲームボードは正方形のプレイヤーボードと、コースターのような円形の工房展示ボードの2種類です。
このゲームの一番の特徴がカラフルなタイル。5種類×20枚の100枚の装飾タイルと白のスタートプレイヤーマーカーがあり、タイルを入れる布袋がついています。
あとは、得点記録用の黒の得点マーカーです。
準備
工房展示ボードを以下のプレイ人数に応じて準備して、テーブル中央に円形に並べます。
プレイ人数 | 枚数 |
---|---|
2人 | 5枚 |
3人 | 7枚 |
4人 | 9枚 |
装飾タイルを布袋に全部入れ、工房展示ボードにタイルを4つずつひいて置いていきます。
プレイヤーボードと得点マーカーを各自1つずつ配れば準備完了です。
スタートプレイヤーは、「一番最近ポルトガルに行った人」。白色のスタートプレイヤータイルを受け取ります。
アズール(AZUL)のルールとゲームの流れ
壁面にみたてた個人ボードにタイルを並べていき、並べた数に応じて獲得する得点を競います。
ゲームは、「タイル獲得フェイズ」「タイル配置フェイズ」の2フェイズが1ラウンドとして進行します。
タイル獲得フェイズ
タイル獲得フェイズでは、場にあるタイルをみんなで獲得していきます。スタートプレイヤーが、スタートプレイヤーマーカーをテーブルの中央に置いてスタート。
好きな工房展示ボード(またはテーブル中央)を1つ選び、同じ色のタイルを全部獲得します。パスはできません。
獲得したタイルは、個人ボードの左側にある、図案ラインのいずれか1段に加えていきます。獲得した色以外のタイルはテーブル中央に置きます。
図案ラインは階段状になっており、1段目は1個、5段目は5個の同色のタイルを置くことができます。
図案ラインに置くことができない、または置きしたくないタイル、あるいは手に入れたスタートプレイヤータイルについては、ボード最下段の床ラインに配置します(得点計算時にマイナス得点となります)。
順番にタイルの獲得をしていき、場のタイルが全部なくなったら、タイル獲得フェイズの終了です。
タイル配置フェイズ
タイル配置フェイズでは、同時進行で各自の図案ラインに置いたタイルをプレイヤーボードの壁面スペースに配置していきます。
壁面スペースに置くことができるのは、完成した図案ラインのみ。例えば、3つのスペースの図案ラインに3つ全部タイルが置かれていたらタイルを置くことができるわけです。
図案ラインの上段から順番に、完成をチェックしていき、完成しているラインは一番右のタイルを横に並行移動させ、壁面スペースに配置していきます。
壁面に置いたら得点です。置いたタイルを起点に上下左右につながるタイルの数だけ点数を獲得し、獲得得点の分だけマーカーを進めます。同様に底ラインのタイルはマイナスとしてマーカーを戻します。
最後に、配置が終わった図案ラインの残りのタイルを袋に戻したうえで、新たなタイルを配り次のラウンドを開始します。
勝敗
タイル配置フェイズの終了の際に、壁スペースのいずれかの段にタイルが横一列で5枚並んだプレイヤーがでたらゲーム終了です。
得点ボードのマーカーの位置を確認し、獲得得点が最も多いプレイヤーが勝者です。
シンプル、悩ましい、美しい、の3拍子そろった傑作
どのタイルから獲得すれば自分ボードの壁面が隙間なく埋まるだろうか…。
最初はなにも考えずにタイルを置いていけますが、ゲームが進行するにつれて選択肢が狭まり、しっかり考えないと苦しくなってきます。それもそのはず。ラウンドの最初にタイルをひくとき以外は運の要素がゼロ。プレイヤーの選択肢が命運を決めるゲームです。
最初は「あのタイルを獲得しよう」と積極的な獲得戦略ではじまりますが、進行するにつれ「あのタイルは受けとりたくない」「あの人にタイルを押し付けるにはどうしようかな」と、無用なタイルを受け取らないことが戦略上重要になってきます。
パズルのように個人ボードに埋めるシステムのため、一見してソロプレイ感が強そうですが、タイル獲得競争と押し付け合いのインタラクションがなかなか激しいです。
基本ルールはタイルをとって置くだけということで、ルールは比較的シンプルで子供でも楽しめますが、中身は濃厚で悩ましさたっぷり。
シンプル、悩ましい、美しいの三拍子そろっており、さすがドイツゲーム大賞受賞作といえる作品。万人におすすめできる文句なしの傑作ボードゲームです。
項目 | 公式表記 | コメント |
---|---|---|
年齢 | 10歳以上 | 6歳くらいからでも遊べるかも |
時間 | 30分 | |
人数 | 2-4人 | 2人でも4人でも楽める |
日本語化 | 不要 | 説明書のみ |
項目 | 評価 | コメント |
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ルールの易しさ | ★★★★☆ | 比較的シンプル |
大人も楽しい | ★★★★★ | 大人が楽しく子供も楽しめる |
2人でも楽しい | ★★★★★ | 2人が意外にベストかも |
総合評価 | ★★★★★ | シンプルで悩ましく美麗 |