長い人生、ときに難しい意思決定には遭遇するもの。そんなときに使えるワザが、先日宇宙旅行を実現したAmazon創業者のジェフ・ベゾス氏の後悔最小化フレームワーク(Regret Minimization Framework)です。
後悔最小化フレームワークはどんな場面で使えるのか?
最近は人事関係の仕事をしていることもあって、職場でキャリアについての相談をよく受けます。最近は特に50代のベテランの方から相談を受けることが多いです。
一昔前までは60歳まで働けば定年で悠々自適。50代なんて惰性で生きていける時代でした。しかし、定年が延長され老後の不安もある昨今では、生涯現役が現実。会社でのポジションに先が見えてきたなかで、今後の生き方に悩む人も増えてきたわけです。
「これまでずっと経理畑を歩んできたんだけど、広報的な仕事がしたいんだよね。」
「これまで部下を持たせてもらえなかったけど、たくさんの人を動かす仕事がしたいんだよな。」
「コロナで飲食店が潰れてライバルが減ったから、脱サラして居酒屋やってみようかなと思っているんだよね」
悩める50代の相談事は、たいていツッコミどころが多いものばかり。就職活動の成功には自己分析が大事といいますが、それは熟練者も同じ。これまでうまくいかなかった原因に自己分析の不足があるもんなんですよね。
若手なら「まず自己分析をして強みや弱みを理解しよう」という率直なアドバイスや、勉強して新たな武器を身につけることも可能ですが、人生の先輩に対して身も蓋もないことはなかなか言えません。
さて、そんな方々に自分を見つめ直してもらうためのアドバイスとして使っている万能薬が、後悔最小化フレームワーク(Regret Minimization Framework)。
「アマゾンの創業者のジェフ・ペゾス氏っていますよね…。」と切り出すわけです。
成功者のone of themからonly oneの成功者へ転身したジェフペゾス氏
ジェフ・ペゾス氏は、Amazon創業前にヘッジファンドDE SHAWで働いていました。
彼はヘッジファンドの幹部社員として少なくない収入を稼いでおり、家族も同僚にも恵まれ誰もが羨む成功者でした。この安定した生活を捨てて裸一貫で起業をするというわけですからみんな心配します。
ペゾス氏は「インターネットで本を売る」というアイデアで起業することを上司に相談しました。そして上司は彼をセントラルパークの散歩に連れ出しました。
上司は「とても良いアイデアだと思う。ただし、君のような良い仕事に就いていない人間にとってはね。」とコメントしました。
そして、上司は早急に判断するのではなく48時間考えてから最終決定をくだすようペゾス氏に伝えました。
48時間以内の人生の大きな決断。この局面で彼が見いだした手法が「後悔最小化フレームワーク」でした。
80歳になった自分の姿をイメージしてみて、自分の決断を後悔するかどうか。後悔が最小になるような判断は何か。
こうして、ペゾスは退社して企業するかを決断しました。
80歳になった自分を想像し「そのときの自分はどう思うだろうか」と考える。これで日常のゴタゴタから離れることができます。
年度の途中でウォール街の会社を去ると、年次ボーナスもなくなり短期的には混乱する類のものです。しかし、長期的に考えることで、後悔ない良い人生の決断を下すことができます。
長期的な観点にたって人生の決断をしよう
仕事や勉強、恋愛など、誰しも「あの時に決断をしておけば、人生が変わったかも」という後悔は少なからずあるもの。
後悔最小化フレームワークは、本来はこれからの選択肢がたくさんある若者ほど効果が高いのですが、これまで後悔と失敗を繰り返し「やる後悔」「やらない後悔」を実感してきた年配者への説得力は絶大です。
「宇宙から地球を見ると、自分が変わるだろう」。ベゾス氏は5歳の頃から夢見てきたという宇宙旅行の夢をついにかなえました。
ペゾス氏にはなかなかなれませんが、後悔の少ない人生はより良い人生になるのではと思います。「後悔最小化フレームワーク」みなさんも、ぜひ活用してみてください。