動物を集めて自分の牧場を作っていく2人専用ボードゲーム「アグリコラ:牧場の動物たち(Agricola:All creatures big and small)」です。
名作アグリコラのエッセンスを取り出したお手軽ワーカープレイスメント
本作の元となるアグリコラ(Agricola)は、2007年にリリースされ、2008年のドイツ年間ゲーム大賞で特別賞を受賞しました。
アグリコラの採用した「ワーカープレイスメント」というシステムは、それ以降のボードゲームへ多く採用されることとなり、ワーカープレイスメントの金字塔としてボードゲームフリークを中心に高い評価を得ています。
ただし、特別賞はcomplex game枠ということで、本家アグリコラはなかなか難解なゲーム。初心者にはなかなか敷居が高いです。
そこで、派生作品として、本家アグリコラのエッセンスだけを取り出して2人専用ゲームにしたものが、本作となります。
現在、国内版で発売されたアグリコラシリーズは下記の4つ。プレイ時間を比較すると分かりますが、「アグリコラ:牧場の動物たち」が一番軽い作品です。
タイトル | リリース年 | 人数 | 時間の目安 | その他 |
---|---|---|---|---|
アグリコラ | 2009 | 1~5人 | 30分×人数 | 流通なし? |
アグリコラ・牧場の動物たち | 2012 | 2人専用 | 30分 | 販売中 |
アグリコラ:リバイスドエディション | 2016 | 1~4人 | 30分×人数 | 流通僅少でプレミアム価格 |
アグリコラ:ファミリーバージョン | 2017 | 1~4人 | 45分 | 2017年リリース |
ワーカープレイスメントとは
ワーカープレイスメントとは、ワーカー(労働者)のコマをボードにプレイスメント(配置)する、ボードゲームのシステムのひとつです。
コマをゲームボードに置くことで、資源の獲得をはじめ各種行動を選択するボードゲームのシステムです。
赤のワーカーを置いて茶色の資源3つ、青のワーカーを置いて黒の資源を2つ獲得するイメージ。
アクションをボードにビジュアル化して分かりやすくできるため、複雑なアクションを取り入れたりルールの理解や操作性が高まったり効果があります。
また、ワーカー配置は順番に行われて先着順でスペースが埋まっていくので、プレイヤー同士の場所の取り合いがボードゲームの醍醐味であるジレンマを生む仕組みにもなっています。
内容物
30㎝角ほどの、ドイツゲームのなかでは小さめな箱の中には、コマがたくさん入っています。
ちなみに、購入したのちに、コマの不良を発見しましたが、国内版だったこともあり、販売元のホビージャパンさんに連絡するとすぐに良品を送ってくれました。
私はボードゲームを海外通販で買うことも多いのですが、トラブル時のサポートが手厚い国内版はこういう時は安心感がありますね。
動物コマ
動物コマは牛、馬、羊、ブタの4種類です。
ちなみに、黒のコマは日本語マニュアルでは実はブタではなくイノシシと書かれています。でも牧場にイノシシって?
ドイツ版ではSchweine(ブタ)、英語版でもpigで、どう考えてもブタなのに、日本語マニュアルの記載はイノシシという不思議。翻訳者がイノシシ推しだったんでしょうか。
資材コマ、ワーカーコマなど
黄色の棒が牧場の柵になる境界コマ、黄色い四角が飼葉桶のコマです。
円形のコマが資材コマです。黒、白、茶色が、それぞれ石材、葦、木材です。
赤と青の木製コマが、ワーカー(働き手)駒です。他のシリーズだと人型なんですが、単なる円盤なのが残念なところです。
顔が描かれた紙製コマが、ラウンドで先攻を示すスタートプレイヤーマーカーです。このゲームでは先攻が優位なので重要です。
ボード、タイル
共通で使用するボードとして、それぞれアクションを実行していくゲームボードを使います。
また、プレイヤーそれぞれで農場ボードを1枚ずつ使用します。
プレイヤーの農場は、農場用の拡張ボードで拡張するとともに、農場の中には厩などの建物として正方形の建物タイルを使用します。
準備
中央にゲームボードを配置し、農場ボードをそれぞれの手元に置きます。
それぞれのプレイヤーは初期資材としてそれぞれ境界コマを9本づつ取ります。
残りの境界コマが8本になりますので、それをゲームボードの「拡張」スペースのそばにおきます(この境界コマが残りラウンドを示します)。
資材や家畜などのコマやタイルをストックとして、ゲームボードの周囲に種類ごとにストック並べれば、準備完了です。
ゲームの流れ
動物や建物を増やしていき、大きな牧場を作って得点を獲得していくのが目的です。
ゲームは補充~労働~繁殖の3つのフェーズに分けられた1ラウンドが、全8ラウンドにわたって進んでいきます。
1)補充
資材や家畜をゲームボードの指示通りに補充します。前のターンで残っていても、累積されて増えていくものもあります。
2)労働
ワーカーをボードに配置して、「資材を獲得」「建物の建設」「動物の飼育」などの行動を実施していきます。
スタートプレイヤーマーカーをもったプレイヤーから順番に、ゲームボードに赤青のワーカーを配置し、続けてアクションを実行していきます。
例えば、柵の建設のマスにマーカーを置けば柵の建設ができ、ウシがいるマスにワーカーを配置すれば、ウシをもらって牧場に配置できます。
ワーカー3人×2プレイヤーの6回アクションを実行すれば、労働フェイズが終了します。
3)繁殖
同じ種類の動物を2匹以上保有していた場合には繁殖が行われたということで、その種類の動物コマを1つもらってふやします。
繁殖が完了したら、ワーカーコマを手元に戻して、補充フェイズに戻ります。
勝敗
全8ラウンドが終了したら、得点計算です。基本は動物1匹につき1点です。
同じ種類の動物を多く飼育しているとボーナス、逆に3匹以下しか飼育していない種類はペナルティがつきます。
さらに、建物タイルや、拡張ボードのスペースなどによるボーナスもあります。
これらの得点を合計して、得点が多いプレイヤーが勝利です。
牧場を広げるのが先か、動物を増やすのが先か・・・。
得点になる動物をたくさん集めることが、このゲームの基本戦略です。
2匹以上集めると、子供を産んで増えていくので、できるだけ早く2匹以上の動物を各種手に入れたいところ。
しかしながら、仮に動物が増えても、それを受け入れられる牧場がないといけません。
さらに、広い牧場を作るのにはそのための資源も必要。
できるだけ広い牧場をつくって、そのあとに動物か。それとも動物を早めに手に入れて、徐々に牧場を拡大させていくのか。作るにも資源をためて一気につくろうか・・・。
資材も動物も、毎ターンボードに補充されるので、ある程度溜まってきてからもらうのがいいけれど、そうこうしているうちに、相手に取られてしまうことに。
やろうと思っていた行動が、先にワーカーコマを置かれてしまって「しまった!」なるところが、ワーカープレイスメントの悩ましさです。
本家のアグリコラには職業があったり、働き手の食料を確保しなければならなかったりと、もっと考えどころがたくさんですが、本作は「資源集め」「牧場作り」「動物の飼育」と、やるべきことはかなり単純化されています。
ただ、シンプルゆえに相手とのバッティングも多く、ライバルとの駆け引きのなか牧場を広げていくのには、なかなかの悩ましさがあります。
運の要素が全くない将棋やチェスと同様の完全情報ゲームなので、やり込んだゲーマーには物足りないかもしれませんが、わが家なんかでは十分すぎる難易度です。
3人以上で遊ぶ方にはファミリーバージョンもシンプルでよいと思いますが、なかなか数が少ない2人専用ボードゲームの中では、かなりいい線いっていると思います。
牧場がどんどん大きくなっていく様子がビジュアル的にも楽しくて、何よりも30分で遊べるお手軽さが売りのこのゲーム。複雑なボードゲームには必ずといってもいいくらい登場するワーカープレイスメントの入門用としてもおすすめですよ。
項目 | 公式表記 | コメント |
---|---|---|
年齢 | 10歳以上 | 6歳くらいでできるかも |
時間 | 30分 | |
人数 | 2人 |
項目 | 評価 | コメント |
---|---|---|
ルールの易しさ | ★★★☆☆ | 手順はありますが難しくはない |
大人も楽しい | ★★★★★ | 大人が楽しい |
2人でも楽しい | ★★★★★ | 2人専用 |
総合評価 | ★★★★☆ | 2人専用でゲームではなかなか |
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