社内異動で今月から職場が変わりました。
これまでは外部との関わりもなく入れ替わりも少ない職場で、いつも同じ顔触れでの会話が中心でしたので、コミュニケーションスキルはかなり低下しています。
もともと自分からペラペラしゃべるのは面倒な性格なので、会話では聞き手にまわる方が多いのですが、今度の職場はどうやら聞き手タイプが多いようです。
話題が途切れて沈黙が続くのも嫌なので、主として自分以外の誰かがしゃべってくれるようにという意味で、話題の火種だけは投げるようにしています。
そんな新たな人間関係のコミュニケーションで、私が呪文のように唱えて意識しているのが「木戸に立てかけし衣食住」と「政宗の皿」です。
木戸に立てかけし衣食住
営業トークや初対面の相手など、距離を近くするための話題として、昔から言われているのが「木戸に立てかけし衣食住」。
多少のバリエーションがありますが、季節、道楽、ニュース、旅、天気、家族、健康、仕事、衣料、食、住居の頭文字をとったものです。
会話のキャッチボールが成り立つためには共感が必要です。これらの話題は、誰でも広く関心を持ちやすいテーマなので、共感されて話が広がりやすいトピックとなります。覚えておいて損はないと思います。
き(季節)
「今月入ってから暑い日が続いていますね〜。」
「今年はホワイトクリスマスになりそうな寒さですね。」
手紙を書くときでも、まずは時候の挨拶から。季節は会話のきっかけの鉄板です。
四季が楽しめる日本ならではのトピックでしょうか。
赤道直下の国はいつも暑いから「今日は暑いですね。」の季節の話は成立しませんね。
ど(道楽)
「最近、海外ドラマにはまっていまして・・・。」
「お休みの時は何をして過ごしますか?」
社会人ならゴルフなど、相手と共通にできる趣味があれば、なお盛り上がりますね。
昔の上司に、ダイビングから乗馬、登山から落語、洋楽からマンガまで、本当に多趣味な人がいました。
「初対面の相手でも警戒心なく盛り上がって距離を縮めることができるのは、何より趣味の話だ。だから、ビジネスで誰とも話が合せられるよう俺は何でもやるんだ。」と言っていましたが、この人は偉くなりましたね。
に(ニュース)
「ヨーロッパでまたテロらしいですね。物騒になりましたね。」
「石原さとみ、結婚するんだって?知ってました?」
誰もが関心を寄せる時事ネタはやはり鉄板ですね。
ただ、経済ネタや芸能ネタのように、相手によっては関心がないニュースもあるので、TPOによってジャンルを変えるのも大事ですね。
た(旅)
「やっぱり今行くなら沖縄がいいなぁ。国内でもリゾート気分が味わえて。」
「この間イギリスに行ってきたんですが、やっぱりあっちの食べ物は口に合わないですね。」
旅行は楽しい想い出や出会いがつまっているもの。話を聞くだけでもその体験が共有できる気がします。
お互いに行ったことがある場所ならなおさら。行った時間は違っても、一緒に行ったかのように想い出を共有でき、距離が近くなるかもしれません。
て(天気)
「今日は午後からは晴れてくるみたいですね。」
「この間の集中豪雨、知り合いの家が水浸しになったんですよ。」
天気もまた定番。誰しも毎日チェックするから、老若男女を問わず使える話題ですよね。
使いやすいが話題の広がりがないのが難点。アイスブレーク的に挨拶とセットのような形で使うべき話題となります。
か(家族)
「お子さんはもうおいくつになられましたか?」
「うちの子、来週が合格発表でドキドキです。」
家族がいる相手には、家族ネタは鉄板です。
ただ、相手と内容によっては「いつ結婚するの?」「子供はまだ?」など、聞くのが失礼になる質問も。
家庭に関しては、自分のことを話すのはいいですが、それが自慢に聞こえたり相手のプライベートに立ち入ったりと、失礼な質問をとならないように気をつけることも大事ですね。
け(健康)
「最近また風疹が流行ってるらしいですね。予防接種にいってきましたよ。」
「先日人間ドッグに行ったら、体重が5kgも増えてまして・・・」
身体のことは、誰しも関心事。一般的に年齢が高くなるほど健康に心配事が増えるので、年配者ほど話題になりやすい傾向かも。
お年寄りの井戸端会議が病院で繰り広げられている場合がよくありますが、話題の定番はやはり健康です。病気やケガ自慢をする人もよくいますね。
し(仕事)
「最近の仕事の調子はどうですか?」
「ここのところ残業が多くて睡眠時間があまりとれなくって・・・。」
「最近忙しい?」は、社会人なら挨拶のように使われる言葉ですね。
仕事の中身や成果は、雑談のテーマとしては理解ができなかったり面白くなかったりするので、どちらかといえば苦労話や失敗談の方が共感が得られやすいですね。
衣(ファッション)
「今年は白が流行っているみたいですが、なかなか流行に敏感ですね。」
「真っ赤なネクタイですね。今日の会議は積極的に、という意思表示ことでしょうか。」
女性にとっては定番の話題ですが、男性のなかではそれほど話題にはなりませんね。
ただ、ファッションにこだわりがある男性は、自分のファッションについて褒められると顔が明るくなりますね。
食(食べ物)
「2丁目にできた新しいラーメン屋、おすすめですよ。」
「田んぼに囲まれた中にある、まさに隠れ家のうどん屋、知っていますか?」
人間の生理的欲求のひとつの食欲。距離を縮めるには食事からと言います。話題としての食も、明るい話になることが多いのでおすすめです。
よかった話は自慢に聞こえる場合も多いですが、食べ物なら誰でも手が届くことなので、超高級店など金が絡まない限りは無難な話題となります。
住(住まい)
「今月から一人暮らしを始めたんですよ。意外にお金がかかるもんですね。」
「家をたてようと探しているんですよ。文教地区といえばどのあたりでしょうか?」
「どちらにお住まい?」も「出身はどちら?」と同じくらい鉄板ワード。
住まいや生活の話はプレイベートの話ではありますが、聞かれてもそれほど気にする人がいないので、相手の人となりを知るにもいい質問です。
タブーな話題。「政宗の皿」
逆に、気の置けない関係でない限りは避けた方がよい話題は「政宗の皿」こちらも頭文字で、政治、宗教、野球、サラリーとなっています。
これらの話題は、個人のプレイバシーや思想、信条に関わるもの。よって譲れないラインたって意見が対立しやすいので、どちらか、あるいはお互いが幸せな結論になってしまう可能性がある話題です。
理(美)容師さんのように、初見のお客が多く雑談が仕事の一部となっている方には、「避けるべき」ガイドラインがあったりもするようですね。
政(政治)
支援している政党や政策は、人によって様々です。
「今の政権は腐ってる」というような政権批判や、「〇〇党は・・・」のような、自分の立場では当たり前のことや、新聞にいつも書いてあることも、支持層にとってみれば琴線に触れる批判であるケースも。
政党の党員や支援者は意外に身近にいるもの。政治の話は議論をよぶため、職場であえて口にしないけど、実は・・・という人もいるわけです。
「マスコミで報道される分には構わないけど、知っている人に面と向かって言われると耐えられない」となって、対立することもあります。
宗(宗教)
宗教はまさにイデオロギーの問題です。敬虔な信者にとっては、信じている宗教を批判されることは自分自身を否定されていることと同義です。
「自分は無神論者だから問題ない」というわけにもいきません。熱心な信者にとっては、神の存在を信じていないこと自体、不快に感じてしまう場合も。
また、相手の信教に中途半端に好意を示した場合には、その宗教に勧誘されたりと厄介な話にもなりかねないので、やはり避けるべき話題ででしょう。
の(野球)
相手と好きな球団が合っている場合は、逆に盛り上がる話題になるのが野球です。
12球団もあるなかで相手と合致する確率は、普通に考えれば高いわけありません。もしかしたら、相手が合せてくれているのかもしれません。話題にする場合も、先に球団を尋ねてからが賢明かもしれませんね。
いかも自分がどんなに好きな球団でも、相手にとっては憎っくき敵かもしれません。巨人などがまさにそうですが、人気球団ほどアンチも多いので要注意です。
また、地元に球団があるんだから、その地元球団のファンだろうという決めつけをしてしまうと、痛い目をみる場合もあるので要注意です。
皿(サラリー)
給料の話はまさにプライベートの話。
片方が話題にすると、2人とも公開することになり自然と比較になります。比較した場合は、たいがい少ない方は劣等感を抱いてしまうことになります。
世の中の人間の多くは「自分の努力や成果に応じた給料をもらっていない」と思っているもの。その不満の矛先が、給料が多い方に回ってしまうことも。
サラリーの話で関西人だけは例外です。関西人は給料の話題が大好き。「なんぼもらってんの?」は、ある程度親しい間柄が前提ですが、普通の質問でそれほど後腐れもありません。
関西人の「なんぼ?」の質問に固まってしまうと、冷たいヤツと思われてしまいます。「なんぼだと思う?」など適当に返しつつ、とサラリとかわすテクニックが大事かも。
プライベートの場での話題づくりには「ガムトーク」など道具を使うのもいいですよ。
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