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モーレツ営業で有名な体育会系企業の三井住友銀行がノルマ廃止!その実態は?

あの三井住友銀行がノルマを廃止!一体どうやって?

4月24日の日経新聞を読んでいたら、びっくりする記事を発見しました。

「三井住友銀行がノルマ廃止」。あの三井住友銀行がです。

r.nikkei.com

三井住友銀行(SMBC)は、三井系のさくら銀行(太陽神戸三井銀行)と住友銀行という2つの財閥系銀行が合併してできた銀行です。

社風はもっぱら住友銀行由来の体育会系色が強いようで、メガバンクのなかでノルマ営業のキツさは随一といわれています。

少し前に、大きめの会社の立ち上げに関わったことがありますが、メインバンク選定にあたって財務担当者への「弊行に資金を集中したメインバンクに!」「もちろん当行しかないですよね」三井住友銀行の営業攻勢はどこよりも激しかったそうです。

このケースでは最終的にSMBCはメインバンクから落選しました。そうすると「こんな結末では目標未達で僕は会社に帰れません!」と法人営業担当者。結局、その担当者が社内で落選の説明(担当者には非がなかったという理屈づけ)内容までつけてあげてようやく帰ったそうです。

 

さて、そんなSMBCがノルマ廃止という大方針転換。いったいどんなすごい改革をしたのか。

これまでの営業史上主義の社風を変えるために「ノルマ廃止令」みたいなものが出ているのか。すごく気になってしまいました。

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ノルマ廃止で歓喜に踊る行員の声を聞いてみると…

気になった私は取材をしてみようと、さっそく知り合いの行員に聞いてみました。

 

「今日の新聞見たよ。ノルマが廃止されたんだって?すごいよね」

「それがさ、笑えるんだよね…。毎朝うちの支店では朝礼で支店長が挨拶するんだけど…。」

 

以下、その支店長のあいさつの伝聞です。

 

みんな今朝の日経新聞は読んだか?まさか読んでないなんていう者はいないと思うが、うちの記事が載っていたよな。

新聞には『ノルマ廃止』と書いてあったが、そもそもノルマなんてうちの銀行にはない!

大体、ノルマ達成ができなくてクビになった行員なんていないしな。

これまで私が言ってきたのもノルマではなく目標。そこのところちゃんと誤解のないようにしてくれな。

したがって、今までと何も変わらない。目標達成に向けて今日もがんばろう。以上!

 

というわけで、その支店だけかもしれませんが、評価項目などは変わったものの、体感としての実態はほとんど変わっていないという状況のようです。

 

「ノルマ」という言葉はNGワードになったかもしれませんが、目標、KPI、ターゲットなど、結局言葉遊びで言い方を変えて残っていくんですよね。

そういえば、私の会社も東芝の不正会計事件があってから「チャレンジ目標」という言葉がタブーとなり、何も変わらない「ストレッチ目標」という言葉に変わりました。他社のことを言えないですね。

 

さて、新聞をよく読むと「個人向け金融商品の販売のノルマ」がなくなったと書いているだけ。法人営業やクレジットカード契約などのノルマには言及されていません(書いていないということは推してしるべしですね)。

また、「個人のノルマ」がなくなっても「組織のノルマ」がないたわけでもない。「1人5,000万円取ってこい」はアウトかもしれませんが、「相談課の8人で4億円取ってこい」の連座制ならいいわけです。

半沢直樹の原作で有名な池井戸潤さんの小説にも、ノルマに苦しむ銀行員が描かれますが、都市銀行は小説さながらの社内競争の激しさで有名です。その最前線が成績が悪いと出世コースから即離脱となる支店長。営業店の目標がなくならない限り、本当の意味でのノルマはなくならないんでしょうね。

超一流企業の三井住友銀行だから、ひょっとしてものすごく画期的な改革をしたのかとも期待しましたが、うちの会社とあまり変わらずでちょっとガッカリでした。

高齢者をカモにしているとの批判も多い銀行のリテール営業。ノルマ廃止は、最近の営業に眉をひそめる金融庁へのポーズというのが実態でしょうか。

シャイロックの子供たち (文春文庫)

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ノルマ廃止の先にはホワイトな未来?ブラックな未来?

三井住友銀行といえば、人事制度改革の一環として、社内身分制ともいわれる総合職・一般職の垣根をなくすというニュースも最近出ていました。

r.nikkei.com

業界の慣行であるノルマも社内身分制もなくなりなんて、ホワイト企業と外形的には見えてしまいます。一方でうがった見方をすると、RPAなどの技術革新で大量に余剰となる要員を、楽に配置転換や人減らしする準備なのかもしれませんね。

 

個人的にはノルマは嫌いですが、商品の差別化が困難な金融商品は、営業力が収益力に直結しするので、程度はあれど目標管理の仕組みはなくてはならないものかもしれません。

生命保険会社で支部長をしている友人のセリフ「ノルマはキツイけど、達成すると美味しいんだよね。契約ノルマを超過して全国優秀店になったら、高級ホテルで芸能人を呼んでパーティだよ!やめられないね。」勝てば官軍で、勝ち組の人は基本ノルマ肯定派です。

企業は業績をあげなければ潰れてしまうので、いくら規制しても数字を課して信賞必罰はどこまでいってもなくならないんでしょうね。

本当は適度な目標管理ができればいいんでしょうが、世の中そんなにうまくいかない。数字は一度出たら独り歩きしてしまうもの。達成に死ぬ気でがんばる人や、本人ならましですが数値を追う上司に当たって不幸になる人も。

 

為替リスクの知識もない高齢者に表面利回りを強調して外貨建保険を勧めたり、金銭感覚がない若者にカードローンやリボ払いの利用を促したり、強引な営業の被害者になるのは常に社会的な弱者。

結局のところ世の中は弱肉強食、なんとも世知辛いですね。www.boardgamepark.com