親子ボードゲームで楽しく学ぶ。

世界のボードゲーム・カードゲームを楽しもう!初心者や子供におすすめなライトなアナログゲームを紹介します。

「スカウト!(SCOUT!)」国内ゲームで2度目のドイツ年間ゲーム大賞ノミネートした大富豪系カードゲーム


ボードゲーム界隈では最も権威がある賞といわれているドイツ年間ゲーム大賞。その年に販売されたボードゲームのなかから最も評価が高い作品が選ばれます。

先日、大賞選定に先立って、今年のノミネート作が3つ発表されましたが、このなかに日本の作品が7年ぶりに選出されました。

映画がいけばアカデミー賞の作品賞に邦画がノミネートされるぐらいの快挙。1979年の賞創設以来、2回目。ちなみに前回ノミネートされたのは「街コロ」です。
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というわけで、偉業をなしえた大富豪ライク なカードゲーム「スカウト!(SCOUT!)」です。

カードをスカウトして手札を強化しよう

ゲームの概要とテーマと目的

スカウト!は大富豪のようなカードゲーム。

順番に手札から場により強いカードを出して、手札をなくしていきます。

場のカードをスカウトすれば、手札に入れることができるので、スカウトをうまく活用して手札を強化して戦いましょう。

内容物


小箱のなかにはカードと円形の得点チップ、正方形のダブルアクションマーカーが入っています。

  • カード 45枚
  • チップ 25枚
  • ダブルアクションマーカー 5枚


カードはスタイリッシュなデザイン。カードで利用するのは数字だけですが、上の数字と下の数字が異なるのが特徴的です。

置き方によって、上側に書かれた数字が有効になるシステムです。

準備


プレイヤー数に応じてカードを準備したのちに、カードをプレイヤーに配りきります。

配られたプレイヤーは、カードの並び順を変えずに。カードの内容を見て、上向きで使うか下向きに使うかをきめます。


得点チップを中央におくとともに、ダブルアクションマーカーを1枚ずつ受け取り自分の前におきます。

スタートプレイヤーを適当に決めて準備完了です。

スカウト!のルールとゲームの流れ

順にカードをプレイしていき手札のカードをなくすことが目的です。

手番では、1カードを出すプレイ、2場からカードをもらうスカウト、3スカウトとプレイの両方を行うダブルアクションからひとつを選択して行動します。

1 カードのプレイ

カードをプレイする場合は、手札から1枚以上のカードを抜いて場に出します。

ただし、2枚以上のカードを出す場合は、ゾロ目または数字順となる必要があり、かつ手札のなかでそのカードが並んでいることが必要となります。


上の場合、12、33、987が複数枚出せるカードとなります。

また、すでに前のプレイヤーが場にカードを出している場合には、より強いカードをだすことが必要です。また、複数枚のカードが出ているケースでは、プレイするカードもゾロ目か連番かのタイプをそろえる必要があります。

カードの強さは

  • カードの枚数が多いほど強い
  • 同じ枚数なら小さい数字のカードを比べ、数字が大きい方が強い

出したカードで勝利したら、先にでていたカードをいったんの得点として、手元に受け取ります。

2 スカウト

スカウトする場合には、場(3枚以上ある場合は両端のいずれか)からカードを1枚もらい、手札の好きな位置に差し込みます。この際に上下は好きに選んで構いません、

  • どのカードをスカウトするか
  • どちら向きで利用するか
  • 手札のどこに差し込むか

が、を考えて手札が強くなるようにスカウトするのこのゲームの醍醐味です。

なお、スカウトされた結果、場にカードが残っている場合は、それが新たな場のカードとなります(枚数が減るので弱くなっているわけです)。

3 ダブルアクション

1ラウンドに1度だけ利用できるのが、ダブルアクションです。

ダブルアクションマーカーを払うことで、スカウトして手札を強化しつつ、手札からプレイでき出します。

手札を強化しつつ、場札は弱くなるので、ここぞというときに使いましょう。

ラウンドの終了と勝敗

手札を全てを出し切った、あるいは場に出されたカードに対し、他のプレイヤーがカードをプレイできなかった(スカウトしかできなかった)場合にはラウンドが終了します。

手元に獲得したカードを得点、ラウンド終了条件を達成したプレイヤー以外は手札のカードを失点とし、得点チップを獲得(または返却)します。

プレイヤー数だけラウンドを繰り返し、総合得点で勝者を決定します。

手札強くしていく戦略が楽しい大富豪の上位互換

スカウトで手札のセットを強化していき、最後に「これでどうだ!」とカードを出して勝利すると爽快。

手札をどう育てるか次第で強くも弱くもなります。最初に配られた手札でかなり趨勢が決まってしまう大富豪とは異なり、その後の選択で勝敗は大きく変わります。


上でいけば、3と4の間にある8を出してしまえば、234と連番に。さらに5をスカウトできれば23456と強力なカードになるわけです。

ただ、スカウトでカードを増やすと負けたときの失点につながることや、他のプレイヤーが出しやすくなることにもなるため、強化とカードのプレイとのバランスは悩ましいです。


2019年に国内で同人版がリリースされたときは、ミュージシャンの小沢健二さんが購入し、「オザケンが買ったカードゲーム」で話題になりました。

その後に海外で発売されて、世界的な賞にノミネート。小沢健二さんの目のつけどころは素晴らしいですね。

スタイリッシュなデザインで、読んだだけで面白いと思える洗練されたルールのカードゲーム。

ドイツ年間ゲーム大賞はカードゲームではハードルはかなり高そうですが、ここまでくれば大賞の悲願をなしとげてほしいところ。

考えながらカードを強くしていくのが楽しく、個人的には大富豪の上位互換の印象。ぜひ遊んでみてください。

項目 公式表記 コメント
年齢 9歳以上
時間 15分
人数 3-5人
日本語化 不要 日本語版
項目 評価 コメント
ルールの易しさ ★★★★☆ 比較的簡単
大人も楽しい ★★★★★ 大人も子供も
2人でも楽しい ☆☆☆☆☆ 3人から
総合評価 ★★★★★ 手札を育てるのが楽しい大富豪

SCOUT! カードゲーム

SCOUT! カードゲーム

  • ワンモアゲーム!
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「ピクチャーズ(PICTURES)」5つの素材でお題を表現し当てっこするボードゲーム【2020年ドイツ年間ゲーム大賞】

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ボードゲームで最も権威のあるドイツ年間ゲーム大賞を2020年に受賞した「ピクチャーズ(PICTURES)」です。

ここ数年のドイツ年間ゲーム大賞には、誰でも気軽に楽しめるパーティゲームが選ばれていますが、このピクチャーズもご多分にもれずパーティ要素が強いボードゲームとなっています。

5つの素材で秘密のお題を表現して伝えよう

ゲームの概要と目的

ピクチャーズ(PICTURES)は、カラーキューブ、積み木、棒&、靴ひも、カードの5つの素材を使い、秘密のお題を表現して当てっこするボードゲームです。

内容物

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お題を示す写真カードが91枚。両面に様々な写真が描かれています。

写真カードを並べるときに使うのが、数字トークン文字トークン。布バックい入れた位置トークンでどのお題かを特定します。

メモ帳のようなものが、得点を記録する得点ノートです。

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このゲームの最大の特徴である5つのお絵かきセット

  • 積み木:6個
  • 木の棒&石:棒4本と石4個
  • カラーキューブ:8色x3個
  • 靴ひも:長いヒモ、短いヒモが各一本
  • 記号カード:19枚


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棒と石なんて、その辺で拾ってこれそうな素材です。

準備

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カードはシャッフルして4x4の格子状に並べ、残りをしまいます。縦軸に文字トークン、横軸に数字トークンを置いて位置が特定できるようにします。位置トークンは袋に入れておきます。

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プレイヤーがお絵かきセットを1セットずつ受け取り、最初の位置トークンをひけば準備完了です。

ピクチャーズのルールとゲームの流れ

各プレイヤーに密かに示されたお題の写真がどれかお絵かきセットで表現して当てっこするボードゲームです。他のプレイヤーのお題を当てたり、他のプレイヤーに当てられたりすることで獲得できる得点を競います。

ラウンドが開始したら、プレイヤーはそれぞれ布袋から位置トークンをひとつ引き、こっそり中を見ます。引いたトークンに対応する写真があなたに与えられたお題です。いっせいにお絵かきセットを使って写真を表現していきます。

カラーキューブを使う場合は「3x3の9個の正方形に並べて使う」こと、記号カードを使う場合は「2枚以上のカードを並べる」という縛りがありますが、その他は一部しか使わなかったり立体的に重ねたりなどどのように使っても構いません。

実際のお絵かきは以下のようになります。便宜上写真と並べていますが、実際は写真はテーブルに並べたままです。視線などでお題がバレないよう注意しましょう。
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絵が完成したら、それぞれどのプレイヤーがどの写真カードなのかを得点ノートに記録します。

ラウンド終了と勝敗

みんなが投票し終わったら答え合わせです。ひとりずつ答えを公開し、当てたプレイヤーは1点、当ててもらったプレイヤーは1点x正解者数の得点を獲得します。

お絵かきセットを左隣りのプレイヤーに渡して次のラウンドを開始します。お絵かきセットを1つずつ使った5ラウンドでゲーム終了となり、合計得点が高いプレイヤーが勝者です。
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気持ちが通じ合ってれば正解率も高い?正解がうれしいコミュニケーションゲーム。

さて、以下の写真、みなさんならどう表現しますか?
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「もうちょっとパーツがあったらいいのに!」と思えますが、とにかく材料が足りない。写真を極限までデフォルメして解釈したり、特徴あるパーツの部分だけきりとったりで表現していきます。

個人的には靴ひもが一番難しいかな。2本での表現が難しいです。また、記号カードも「動物がほしいのに鳥しかない」などマッチするカードがなかなかありません。

実際に遊んだときのイメージは下記のような感じ。16枚の写真のなかから特定できるよう表現するのはなかなか難しいです。
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位置トークンは同じものが3枚あるので、同じお題が繰り返し登場したり、2人同時に同じお題になることも。素材や作る人が違うと全く違う表現になるのもなかなか興味深いです。
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一見すると芸術的センスが要るような気もしますが、実際に遊んでみると材料があまりに不足していて絵心はほぼ関係なし。何よりも相手に伝わるかどうかがキモとなります。正解すると「やっぱり夫婦は強いね!」など、気持ちが通じたようでうれしくなります。
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「伝える」ことが大事ということで、名作ボードゲームDIXITにプレイ感が近くコミュニケーション要素が強いです。
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ルールブックは紙1枚で済むシンプルさで、老若男女問わず楽しめる敷居の低さと、コミュニケーションをベースにした面白さは安定感抜群。みんなが一斉にプレイするので他のプレイヤーの待ち時間もなくテンポも軽快です。

さすが毎年1,000以上の新作がでるボードゲームタイトルの頂点ともいえるドイツ年間ゲーム大賞を伊達には受賞していません。パーティゲームで何かといえばぜひおすすめしたい、隙のない万能感のあるパーティゲームです。

項目 公式表記 コメント
年齢 8歳以上 6歳くらいからできるかも
時間 30分
人数 3-5人
日本語化 不要 説明書のみ
項目 評価 コメント
ルールの易しさ ★★★★★ 老若男女誰でもできる
大人も楽しい ★★★★★ 大人も子供も楽しい
2人でも楽しい ★☆☆☆☆ できなくはないが
総合評価 ★★★★★ 気持ちの通じあいが楽しい

ホビージャパン ピクチャーズ 日本語版

ホビージャパン ピクチャーズ 日本語版

  • 発売日: 2020/09/14
  • メディア: おもちゃ&ホビー

同じヒントはダメ!連想ゲーム風パーティゲーム「ジャスト・ワン(Just One)」【2019年ドイツ年間ゲーム大賞受賞作】

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2019年ドイツ年間ゲーム大賞を受賞したパーティゲーム「ジャスト・ワン(Just One)」です。

私の職場では年初が忙しいので、新年会は例年2月の終り(旧正月かって感じですが)。ただの飲み会ではダレるので、会を盛り上げるために毎回ゲームなどが企画されます。

今年はテーブル対抗でこの「ジャスト・ワン(Just one)」をやる話もありましたが、残念ながら今年はコロナウイルスの影響で会自体中止。幻の企画となってしまいました。

ジャスト・ワンは、多人数でのイベントにも使えそうな多人数で盛り上がれる協力型のパーティゲームです。

ヒントで連想して「ヒミツの言葉」をだそう

ゲームの概要と目的

ジャスト・ワンは協力型のパーティゲーム。みんなで力を合わせて問題の正解を目指します。

プレイヤーのひとりが回答者。残ったプレイヤーは上手にイーゼルにヒントを書いて、正解に導いていきましょう。

内容物

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内容物は、イーゼルが7枚、フェルトペンが7本、カードが110枚入っています。

イーゼルはプラスチック製で会議でテーブルに置く名札のような感じです。ペンはホワイトボードマーカーのような印象ですね。

準備

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イーゼルとフェルトペンをプレイヤーに1つずつ配ります。カードはシャッフルして13枚カードをとり、裏向きに中央に山札として置きます。

最初の回答者を適当に決めれば準備完了です。

ジャスト・ワンのルールとゲームの流れ

回答者は「ヒミツの言葉」をカードから選びますが、それが何かはわかりません。他のプレイヤーはお互いにかぶらないヒントを回答者に出して正しい「ヒミツの言葉」に導くことが目的です。

最初に回答者は、内容を見ずに山札からカードを1枚めくります。そして、自分が見えないようにイーゼルに置いて他のプレイヤーに公開します。
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続けて回答者は1~5までの数字のうちひとつを「4」というように宣言します。これで「ヒミツの言葉」が確定します。上で4だと「桃太郎」ですね。

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次に、他のプレイヤーは各自イーゼルに「ヒミツの言葉」へつながるヒントを1単語で書きます。この際、他のプレイヤーと相談してはいけません。

ヒントを書き終わったら回答者は目をつぶります。そして回答者以外の全員で書いたヒントを公開し合います。同一のヒントは無効なのでイーゼルをひっくり返します。
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最後に、回答者に目を開けてもらい、残ったイーゼルのヒント(上の場合「きびだんご」「キジ」ですね)をもとに「ヒミツの言葉」を当てます。

正解した場合、正解のカードが分かるように避けておき山にしておきます。左隣りのプレイヤーが次の回答者となって新たなラウンドをスタートします。

勝敗

山札が全部なくなる13問が終わったらゲーム終了です。みんなでどれだけ正解できたか評価しましょう。

近いヒントがキャンセルされ、遠いヒントだけが残るシステムが秀逸。

ヒントから「ヒミツの言葉」を当てていく、連想ゲームのような仕組みのゲーム。

連想ゲームでは、答えにできるだけ近いヒントをだすことが大事ですが、ジャスト・ワンの場合、誰でも想像できるヒントはバッティングしてキャンセルされるリスクがあります。

直球のヒントではなく変化球のヒントが必要。ここがこのゲームのキモの部分です。

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上のヒントで示される言葉が何かわかりますでしょうか?微妙に遠いヒントばかりかもしれません。

多人数だと普通はヒントが増えて簡単になるはずが、バッティング確率もあがり外れたヒントも増えるので混乱要素も増えてきます。

先ほどの答えは「みそ」でしたが、絶妙な距離感のヒントになる連想ゲーム。「あぁ、それだったのか!」「え~、それじゃ分からないよ!」と、答え合せをするときが一番の盛り上がりをみせます。

シンプルルールでこの収束感は、まさにゲームシステムの勝利。ボードゲーム業界での最も権威あるドイツ年間ゲーム大賞を受賞したのも納得です。お題カードに言語依存があるので、翻訳できる人しかこれまで輸入版で遊べませんでしたが、2020年2月に待望の日本語版が登場しました。

初めての人でも簡単に理解できてすぐに盛り上がれる、万人におすすめできるパーティゲームです。

項目 公式表記 コメント
年齢 8歳以上 言葉さえ理解できればもう少し小さくても
時間 15分
人数 3-7人 4人以上がいおすすめ
日本語化 カードに日本語化が必要
項目 評価 コメント
ルールの易しさ ★★★★★ 誰でも簡単
大人も楽しい ★★★★★ 大人が楽しい
2人でも楽しい ☆☆☆☆☆ 3人から
総合評価 ★★★★★ 万人が盛り上がれるパーティゲーム

ジャスト・ワン 完全日本語版

ジャスト・ワン 完全日本語版

  • 発売日: 2020/02/20
  • メディア: おもちゃ&ホビー

ドラゴンやユニコーンでエルフの国をめぐるボードゲーム「エルフェンランド(Elfenland)」【1988年ドイツ年間ゲーム大賞】

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1988年ドイツ年間ゲーム大賞を受賞した名作「エルフェンランド(Elfenland)」。都市を旅するエルフが主人公のファンタジー世界(最近でいえば異世界かな?)を舞台にしたボードゲームです。

アニメ「放課後さいころ倶楽部」では、第9話に登場しています。

エルフの国を旅してたくさんの都市を訪れよう

テーマと目的

エルフが住まう国エルフェンランドでは、成人の儀式として若者に特別な試練が与えられます。試練の内容は、エルフェンランドの地図を手にして期間内にできるだけ多くの都市を回ることです。

エルフェンランドの移動には、ドラゴン、ユニコーン、大イノシシ、エルフの帆走車、トロールの力車、魔法の雲、イカダを使います。

地形によって利用できる移動手段は異なり数に限りもあります。移動手段を駆使して、この試練で都市を巡って一番の栄誉を獲得するのは誰でしょうか。

内容物

中サイズの箱には、8つ折りの大き目のゲームボードが入っていて、スカスカが当たり前のボードゲームの中では中身がぎっしり入っている印象です。

内容物は、カードとタイルとコマで構成されます。

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カードはメインに使用する移動カードが72枚。その他スタートプレイヤーカード目的地カード(発展ルールで使用し今回は登場しません)、ルールを示す一覧カードラウンド表示カードに分かれています。
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タイルは、移動カードと対応する移動手段タイル妨害タイルがあります。

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たくさんあるコマは、円柱型のものが訪問地コマ、長靴型のコマがプレイヤーを示すエルフのブーツコマです。

準備

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プレイヤーの色を決め、ゲームボードを広げてボード上の各都市に訪問地コマを各色1つずつ配置していきます。

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エルフのブーツコマは、スタート地点であるElvenholdに置きます。

移動カードは山札としてボード脇に裏向きでおき、ラウンド表示カードは1が上になるようにボード右上。一覧カードと障害タイルはプレイヤーに1枚ずつ配って残りをしまい、移動手段タイルを裏向きにシャッフルして5枚のみオープンにすれば準備完了です。

スタートプレイヤーは、「一番年上の人」。スタートプレイヤーカードを受け取ります。

エルフェンランド(Elfenland)のルールとゲームの流れ

移動手段を使って都市を移動しながら、訪問地コマをたくさん集めるのが目的です。

4ラウンド制で、各ラウンドは「1)移動ルートの設定」「2)エルフの移動」の2フェイズで構成されます。

ラウンド開始時に、手札が8枚になるように移動カードを配ります。また、移動手段タイルは手持ちに関わらず、4枚のタイルを1枚ずつ順番にひいていきます(オープンのタイルからひいた場合はオープンタイルを補充)。

1)移動ルートの設定

都市を結ぶ道に移動手段タイルを配置して、そのルートの移動手段を決めていきます。一度決めた移動ルートは変更できず、誰でも利用できます。なので自分が持っている移動カードがうまく使えるアクセスのよいルートに設定するのが大事です。

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スタートプレイヤーから移動手段タイル(または障害物タイル)を1枚ずつ配置していき、もう置きたくなければパスを宣言します。全員がパスとなったらこのフェイズは終了です。

2)エルフの移動

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移動カードを使ってエルフのブーツコマを移動させます。エルフを動かしたいルートを決めたら、その道に置いてある移動手段タイルに対応したカードを出すと移動ができます。移動した都市に自分の色の訪問地コマがあればコマを獲得します。

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移動カードには、種類に応じて通れる道と使用するカード枚数が異なります。「大イノシシは森と平地のみ1枚のカードで移動可能」「トロールの力車はどの道も通れるが平地以外は2枚カードが必要」という具合に、一覧カードに記載されています
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障害タイルが置いてあるルートには、移動カードが1枚余計に必要になります。

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川はタイルなしでも渡れますが、流れがあり、下りは1枚、登りは2枚のイカダカードが必要になります。

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湖は2枚のイカダカードでタイル不要で進むことができます。

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移動手段タイルに対応するカードがない道も、同じカードを3枚(障害タイルがあるときは4枚)を出す「キャラバン」で移動することができます。

移動カードを使い切るか、移動したくないことを選択した場合には手番終了で、次のプレイヤーの移動フェイズとなります。

全てのプレイヤーが移動を終えたらラウンド終了です。ゲームボード上のタイルを取り、移動手段は山に戻し、障害タイルはゲームから除外します。

手持ちの移動手段タイルは1枚だけ残して山に戻し、移動カードは8枚になるように補充。ラウンドカードは次のカードにし、スタートプレイヤーカードを左隣に渡し、次のラウンドを開始します。

ゲームの終了と勝敗

4ラウンドでゲームは終了します。獲得した訪問地コマを比べ、訪問地コマを一番多く集めたプレイヤーの勝ちとなります。

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美しいデザインとテーマ性が光る

ドラゴンのような強力移動カードをもっていても、移動手段タイルが置かれていないと使えません。

移動カードの使い道を決定する、移動手段タイルを置くフェイズが一番の考え所です。

「いかに自分の有利なルートを確保するか」「できるだけライバルに塩を送らないようにするか」「いかに他人のタイルに相乗りするか」で、タイルを置いていきます。

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移動フェイズでは、それぞれのプレイヤーの思惑でルートが設定された状況をふまえ、手持ちの移動カードを活用して効率的に都市を回ることを考えていきます。

まるでテーマパークに行って「アトラクションをできるだけたくさん効率的に回ろう」と考える感じです。

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このゲームで魅力的なのは何といってもテーマ性。「エルフになってドラゴンやユニコーンに乗ってファンタジー世界を旅する」なんて、もはやおじさんとなった身でもワクワクするようなテーマ。そしてこのテーマとゲームシステムがしっかりマッチしています。

一人ひとりの手番が長めなので、シンプルなルールの割に特に多人数での手待ち時間が掛かるのが難点ですが、30年以上前の作品とは思えないほど完成度が高いです。テーマが気にいる方にはおすすめできるボードゲームです。

項目 公式表記 コメント
年齢 10歳以上
時間 60分
人数 2-6人 人数に比例して時間がかかる
日本語化 不要 現在流通しているものは日本語含む多言語版
項目 評価 コメント
ルールの易しさ ★★★★☆ 比較的簡単
大人も楽しい ★★★★★ 大人が楽しい
2人でも楽しい ★★☆☆☆ 2人でもできるが
総合評価 ★★★★☆ 美しいボードとテーマが魅力的

はるけき石の道を進め「ケルト(Keltis)」。「放課後さいころ倶楽部」に登場のシンプルで悩ましいボードゲーム【2008年ドイツ年間ゲーム大賞】

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ボードゲーム「ケルト(Keltis)」。長らく「無冠の帝王」と呼ばれていた大御所ボードゲームデザイナーのライナー・クニツィア氏が、2008年に初めてのドイツ年間ゲーム大賞の栄冠を獲得した作品です。

アニメ「放課後さいころ倶楽部」では、第8話に「ドブル」とともに登場しています。

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ケルトのもとになったのは2人用ボードゲームの名作「ロストシティ」。アイルランドのケルト民族の石造物にテーマを変え4人まで遊べるようになっています。
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石の道を遠くまで進もう

ゲームの概要と目的

5つに彩られた石の道。カードをプレイして、自分のコマを石の道のできるだけ遠くまで進めていきましょう。ただし、カードの順番に考慮しないといけません。

進む選択をしたのに奥まで行けなければ減点。願いの石はたくさんあつめれば高得点。たくさんの得点獲得を目指しましょう。

内容物

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いわゆる大箱のなかに入っているものは以下のとおり。

  • ゲームボード
  • カード
  • プレイヤーコマ、大きなクローバータイル、得点マーカー
  • 願いの石タイル、クローバータイル、得点タイル


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カードは0から10まで、5色の種類があり各2枚ずつの110枚です。


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コマは4色。赤や青のようなビビッドな色ではないところが特徴的です。

通常のプレイヤーコマが各色4個ずつ。厚みがある大きなコマは、得点が倍増するコマ。「スーパーヒトシくん」のようなイメージですね(古い)。

小さなコマは得点マーカー、大きなクローバーは手元においてプレイヤーが担当している色を示します。


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なお、私がもっているバージョンは、拡張ボードつきのものなので、上のようなチップもついていますが、今回の紹介では省略いたします。

準備

プレイヤーは色を選び、大きなクローバータイルを受け取ります。
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ボードをひろげ、マスの灰色部分にタイルを裏向きにおいていきます。全部置いたらタイルを面に向けます。

プレイヤーの大中コマはボード中央下部のスタート地点、小さい得点マーカーはボード左下のスタート地点です。

カードをシャッフルし、手札として8枚ずつ配り、残りを山札としてボード脇におけば準備完了です。

スタートプレイヤーは「アイルランドに最近行った人」日本人には難易度が高くて決まらないですね。

ケルトのルールとゲームの流れ

手札からカードを出していき、5つの道でコマを進めていきます。たくさん進むほど高得点。少ししか進まないと減点です。進む道を選択しながら高得点を目指します。

ゲームはターン制で、手番では
「1 カードを1枚出す」「2 カードを1枚とる」のアクションを実施します。

1 カードを1枚出す(捨てる)

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手札からカードを1枚選び、「自分の前」に出すか、捨て札として「捨て札置き場」に出します。

カードを自分の前に出す

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自分の前に出す場合に、色別に並べます。既にに同じ色のカードが出されている場合には、昇順または降順(同じ数字もOK)に並べなければなりません。

昇順降順がわかるよう、カードはちょっとずらして置いていきます。

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カードを出したら、対応する石の道にコマを1歩進めます。カードを出すほど、どんどんコマが進んでいくわけですね。

コマを進めた際にタイルがある場合には、そのタイルの効果を適用します。

得点タイル

f:id:bg4kids:20191124120541g:plain得点タイルは、記載の数字の分だけ得点です。得点マーカーを進めます。

クローバータイル

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クローバータイルは、自分の好きなコマを1マス進めることができます。進めたタイルでクローバータイルを踏めば、さらに進むこともできます。

願いの石タイル

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願いの石タイルだけは早い者勝ち。最初に到達した人がタイルをもらい、ゲーム終了時にボーナス得点です。

カードを捨てる

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捨て札置き場に出す場合には、他のプレイヤー分と混在で色別に重ねていきます。

2 カードを1枚とる

山札または捨て札置き場の一番上のカードから1枚ひき手札に加えます。

山札だとひくまでどんなカードか分からない一方で、捨て札の場合はカードが選べるわけですね。

手番終了後は、手札は8枚に戻り、次のプレイヤーに交代します。


勝敗

5つある石の道の遠い方から3マスがゴールエリア。このゴールエリアにプレイヤーコマが5つ入ったらその時点でゲーム終了です。
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石の道にあるプレイヤー駒の脇の数字が得点です。それぞれの道ごとに得点計算をします。大きいコマを使用している場合には、獲得得点を倍で計算し、得点マーカーを動かします。

さらに願いの石タイルを数え、枚数に応じた得点を加算します。

得点マーカーが一番進んで得点が一番多いプレイヤーが勝者です。


程よいジレンマの名作

どの色を集めていくべきか…。中途半端に進むと得点はマイナス。ある程度カードを集めて進みたいところですが、手に入るカードは数字も色も様々。

いろいろな道に手をだしていくと、8枚の手札ではあっという間に足りなくなってしまいます。

要らないカードは積極的に捨てていくことになりますが、安易に捨てると「敵に塩を送る」ことにもなりかねません。

相手を有利にしないため、自分が必要ないカードもキープすると、ますます手札は苦しくなります。手札のマネジメントが大事なゲームです。

早いもの勝ちの「願いの石」をいかに先にゲットするか。クローバータイルで「連鎖」させてコマを連続で進めるなど、道のタイルの使い方も戦局を左右します。

手番は「カードを出す」「カードをひく」の2つだけでとてもシンプル。「カードの引き」の運と、それを踏まえた戦略、プレイヤー間の絡みもありゲームバランスは絶妙です。

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「ケルト」には、残念ながら日本語版がなく(といっても言語依存はないですが)、国内ではあまり流通していません。

いわゆる「大箱」のボードゲームの割には中身はシンプルで複雑な戦略を好むボードゲーム愛好家の食指が動かない。一方でカードゲームなどが中心のライト層にはハードルがあるところが要因でしょうか。

テーマも独特なので、最初は派生作の「ケルトカード」「ケルトタイル」などで楽しみ、雰囲気が気に入ったらステップアップでもいいかもしれません。
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個人的には、わかりやいルールで程よいジレンマが楽しめ、ユーロ系ボードゲームの褒め言葉である「シンプルで悩ましい」を体現した文句なしの傑作ボードゲームです。

項目 公式表記 コメント
年齢 10歳以上 6歳くらいからでもできるかも
時間 30分
人数 2-4人
日本語化 不要 説明書のみ
項目 評価 コメント
ルールの易しさ ★★★★☆ 比較的簡単
大人も楽しい ★★★★★ 大人が楽しい
2人でも楽しい ★★★★☆ 2人でも楽しめる
総合評価 ★★★★★ 「シンプルで悩ましい」を体現した傑作

ケルト 追加ボードセット ボードゲーム

ケルト 追加ボードセット ボードゲーム

ベネチアの運河を完成させよう!2人用タイル配置ゲーム「ベニスコネクション(Venice Connection)」

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1996年のドイツ年間ゲーム大賞において、特別賞のBeautiful Game賞を受賞したタイル配置ボードゲーム「ベニスコネクション(Venice Connection)」です。

古い作品ですが、国内で今年リメイク版が発売され、手に入りやすくなりました。

水の都、ベネチアの運河を完成させるのはどっち?

ゲームの目的

2人でベネチアの運河を模したタイルを配置していきます。運河が一周つながって完成ひたときの、最後の一枚となることを競います。

内容物

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11cm x 6.5 cmのとてもコンパクトな箱には、正方形のタイルが入っています。

基本ゲームに使用するのが1青色の運河タイル(16枚)。片面がL字型、反対がI字型の運河が描かれています。

水色の運河タイル(4枚)は、ルールを複雑にした上級ルールで遊ぶための拡張ゲーム用タイル。T字型の運河などが描かれています(今回の紹介では使いません)。

準備

テーブル中央に運河タイルを重ねて山札とし、先攻のプレイヤーを決めたら準備完了です。

ベニスコネクション(Venice Connection)のルールとゲームの流れ

交互に1~3枚のタイルを配置していき、運河を完成させたプレイヤーの勝ちです。

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運河の完成とは、上のように運河が一周つながることを指します。

手番がくると、1枚~3枚の運河タイルを手にとり、すでに置かれたタイルとつながるように配置します。
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配置の際には、下記のルールを守る必要があります。

  • すでにある運河をせき止めてはいけない
  • すでにあるタイルと辺で接しなければならない
  • 2枚以上置く場合は直線方向に配置しなければならない

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勝敗

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運河がつながったら、最後にタイルを置いたプレイヤーの勝利です。

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一方で、運河が見当違いの方向に伸びてしまうなど、16枚のタイルでは明らかに完成しないことも。完成しないなと思ったら、自分の手番でタイルを配置せず「この運河は完成しない!」と宣言しましょう。

相手のプレイヤーは、残りのタイル全部を使って運河の完成を試みます。運河が完成できなかったら宣言したプレイヤーの勝ちです。

ビジュアルはキレイだけど勝負はガチ。一瞬が勝負の頭脳戦ゲーム。

タイルを配置していくということで、カルカソンヌのような、引き運も大事なゲームのように見えますが、タイルは全て同じで運の要素はゼロ。いわゆる完全情報ゲームです。
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なので「詰み」の状態をどのように作るのかが大事。例えば上のように、完成のために2手必要な状態で相手に順番を引き渡せば勝つわけですね。やみくもに配置しても勝てません。
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「運河完成」という最終形をイメージしつつ、その一歩手前の状態を狙いにいくところは、「棒引きゲーム」に似ているかもしれませんね。
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ビジュアルは美しいが運要素はなしの真剣勝負の頭脳戦。16枚のタイルなので勝負はあっという間、だけど悩ましい。ちょっとしたスキマに楽しめるゲームです。

項目 公式表記 コメント
年齢 8歳以上
時間 5分
人数 2人
日本語化 不要 説明書のみ
項目 評価 コメント
ルールの易しさ ★★★★★ 誰でも簡単
大人も楽しい ★★★★☆ 大人も子供も
2人でも楽しい ★★★★★ 2人専用
総合評価 ★★★★☆ サクッと悩ましい2人用ゲーム

ベニスコネクション

ベニスコネクション

色とりどりのタイルで宮殿を飾れ!美しくも悩ましい傑作ボードゲーム「アズール(AZUL)」【2018年ドイツ年間ゲーム大賞】

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先日2019年のドイツ年間ゲーム大賞が発表され、ワードゲームの「JUST ONE」 が大賞を受賞しました。
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流行に鈍感な私は残念ながらまだ遊んでいません。というわけで、周回遅れの2018年ドイツ年間ゲーム大賞の「アズール(AZUL)」です。

タイトルのAZULはポルトガル語で「青」。白と青が基調の装飾タイルアズレージョ(Azulejo)をモチーフにしたボードゲームです。
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王宮をタイルで装飾しよう。

テーマと目的

スペインのアルハンブラ宮殿に魅せられたポルトガル王は、自分の王宮であるエヴォラ宮殿のの壁面をタイルで装飾するように命じました。

あなたはタイル職人。王宮の壁を色とりどりのタイルで装飾して、ライバルに負けない名声を獲得しましょう。

内容物

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ゲームボードは正方形のプレイヤーボードと、コースターのような円形の工房展示ボードの2種類です。

このゲームの一番の特徴がカラフルなタイル。5種類×20枚の100枚の装飾タイルと白のスタートプレイヤーマーカーがあり、タイルを入れる布袋がついています。

あとは、得点記録用の黒の得点マーカーです。

準備

工房展示ボードを以下のプレイ人数に応じて準備して、テーブル中央に円形に並べます。

プレイ人数 枚数
2人 5枚
3人 7枚
4人 9枚

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装飾タイルを布袋に全部入れ、工房展示ボードにタイルを4つずつひいて置いていきます。

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プレイヤーボードと得点マーカーを各自1つずつ配れば準備完了です。

スタートプレイヤーは、「一番最近ポルトガルに行った人」。白色のスタートプレイヤータイルを受け取ります。

アズール(AZUL)のルールとゲームの流れ

壁面にみたてた個人ボードにタイルを並べていき、並べた数に応じて獲得する得点を競います。

ゲームは、「タイル獲得フェイズ」「タイル配置フェイズ」の2フェイズが1ラウンドとして進行します。

タイル獲得フェイズ

タイル獲得フェイズでは、場にあるタイルをみんなで獲得していきます。スタートプレイヤーが、スタートプレイヤーマーカーをテーブルの中央に置いてスタート。
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好きな工房展示ボード(またはテーブル中央)を1つ選び、同じ色のタイルを全部獲得します。パスはできません。

獲得したタイルは、個人ボードの左側にある、図案ラインのいずれか1段に加えていきます。獲得した色以外のタイルはテーブル中央に置きます。

図案ラインは階段状になっており、1段目は1個、5段目は5個の同色のタイルを置くことができます。

図案ラインに置くことができない、または置きしたくないタイル、あるいは手に入れたスタートプレイヤータイルについては、ボード最下段の床ラインに配置します(得点計算時にマイナス得点となります)。
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順番にタイルの獲得をしていき、場のタイルが全部なくなったら、タイル獲得フェイズの終了です。

タイル配置フェイズ

タイル配置フェイズでは、同時進行で各自の図案ラインに置いたタイルをプレイヤーボードの壁面スペースに配置していきます。
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壁面スペースに置くことができるのは、完成した図案ラインのみ。例えば、3つのスペースの図案ラインに3つ全部タイルが置かれていたらタイルを置くことができるわけです。

図案ラインの上段から順番に、完成をチェックしていき、完成しているラインは一番右のタイルを横に並行移動させ、壁面スペースに配置していきます。


壁面に置いたら得点です。置いたタイルを起点に上下左右につながるタイルの数だけ点数を獲得し、獲得得点の分だけマーカーを進めます。同様に底ラインのタイルはマイナスとしてマーカーを戻します。

最後に、配置が終わった図案ラインの残りのタイルを袋に戻したうえで、新たなタイルを配り次のラウンドを開始します。

勝敗

タイル配置フェイズの終了の際に、壁スペースのいずれかの段にタイルが横一列で5枚並んだプレイヤーがでたらゲーム終了です。
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得点ボードのマーカーの位置を確認し、獲得得点が最も多いプレイヤーが勝者です。

シンプル、悩ましい、美しい、の3拍子そろった傑作

どのタイルから獲得すれば自分ボードの壁面が隙間なく埋まるだろうか…。

最初はなにも考えずにタイルを置いていけますが、ゲームが進行するにつれて選択肢が狭まり、しっかり考えないと苦しくなってきます。それもそのはず。ラウンドの最初にタイルをひくとき以外は運の要素がゼロ。プレイヤーの選択肢が命運を決めるゲームです。

最初は「あのタイルを獲得しよう」と積極的な獲得戦略ではじまりますが、進行するにつれ「あのタイルは受けとりたくない」「あの人にタイルを押し付けるにはどうしようかな」と、無用なタイルを受け取らないことが戦略上重要になってきます。

パズルのように個人ボードに埋めるシステムのため、一見してソロプレイ感が強そうですが、タイル獲得競争と押し付け合いのインタラクションがなかなか激しいです。

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基本ルールはタイルをとって置くだけということで、ルールは比較的シンプルで子供でも楽しめますが、中身は濃厚で悩ましさたっぷり。

シンプル、悩ましい、美しいの三拍子そろっており、さすがドイツゲーム大賞受賞作といえる作品。万人におすすめできる文句なしの傑作ボードゲームです。

項目 公式表記 コメント
年齢 10歳以上 6歳くらいからでも遊べるかも
時間 30分
人数 2-4人 2人でも4人でも楽める
日本語化 不要 説明書のみ
項目 評価 コメント
ルールの易しさ ★★★★☆ 比較的シンプル
大人も楽しい ★★★★★ 大人が楽しく子供も楽しめる
2人でも楽しい ★★★★★ 2人が意外にベストかも
総合評価 ★★★★★ シンプルで悩ましく美麗

タイル争奪戦と配置が楽しいファミリーボードゲーム「キングドミノ(kingdomino)」【2017年ドイツ年間ゲーム大賞】

2017年ドイツ年間ゲーム大賞を受賞した、ドミノ型タイルで王国を発展させていくタイル配置型ボードゲーム「キングドミノ(kingdomino)」です。

短時間で遊べるうえ、得点計算を通じて子供のかけ算の練習になるので、わが家の最近の稼働率はかなり高いです。

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ドミノを獲得して自分の王国を作ろう

内容物

割とコンパクトな箱を開けると、コンポーネントが隙間なく入っていて、収納もしやすい機能性重視の中身。

海外ボードゲームといえば、箱ばかり大きくて中がスカスカですが、キングドミノは違います。他のボードゲームも見習ってくれれば、もっと家の収納が圧迫されないのに。

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中身の大半を占めているのは、このゲームの特徴でもある長方形のドミノ型タイル。紙製ですが厚みがあり、たしかにドミノといえるくらいしっかりしています。

タイルの片面には地形、裏面には1〜48までの番号が描かれてナンバリングされています。

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あとはそれぞれのプレイヤーが使用するコマなどです。
・城コマ 4個
・スタートタイル 4個
・国王コマ 4色×2個=8個

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準備

プレイヤーはそれぞれスタートタイルの上に城コマを乗せて、手元に置きます。

これが最初の王国で、城以外の領地がない裸一貫からのスタートです。

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まず、最初の領地を選択するところから始まります。

タイルを4枚引き、これを番号順に並べ替えて、裏返して地形面を出します。

国王コマを集めて、誰かが手で握るなどしてクジ引き方式で引いていき、順番に好きな地形タイルの上に置いていきます。これが最初の領土になります。

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ゲームの流れ

国王となり、価値ある王国を目指すべく、王冠のついている領地をできるだけ広げていくことが目的です。

下記の流れでラウンドを繰り返していきます。最終的には12枚の領土タイルを獲得し、5×5=25マスの王国を作っていきます。

1)領土タイルの準備

争奪の対象となるタイルを4枚を引き、番号が若い方を上にして順番に並べて、表にします。

2)領土タイルの獲得

上に位置するプレイヤー(番号が若いタイルに乗っていたプレイヤー)から、好きなタイルへ国王コマを移動させます。

3)王国領土の拡張

移動後に、元いた領土タイルを獲得して自分の王国につなげていきます。

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タイルを獲得して自分の領地として追加していくことによって、お城だけだった王国がだんだん広がっていきます。
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勝敗

ゲームが終了したら得点計算です。

つながっている同じ地形の領土ごとに王冠の数×マスの数で得点を計算していきます。
※ここが、わが家ではかけ算の練習になっています。

合計得点が高いプレイヤーが勝利です。

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上記でいけば、

  • 草原(黄緑) 2×2=4
  • 森(緑)0×7=0
  • 水辺(青)1×6=6
  • 砂漠(黄色)2×7=14
  • 洞窟(灰色)5×2=10

で34点となります。

タイル争奪のジレンマと箱庭の楽しさ

タイルの番号が大きいほど王冠の個数が多くなり、価値ある地形となります。でも、番号が大きいタイルを狙うほど、次のラウンドでの順番は後の方。

一番大きい数字のタイルを獲得した場合には、次のラウンドでは、みんなが選択した後の残り物のタイル。

「王冠が多いタイルを取りにいくか、それとも次のラウンドの優先権をとりにいくのか」が、なかなか悩ましいです。


領土タイルを獲得してからは、カルカソンヌやアイルオブスカイのように、地形を組み合わせて王国をつくっていきます。

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城は必ずしも領土の中心にある必要はないので、どちらの方向に領土を拡大していくのかも考えどころ。5×5にうまく収まらないタイルは破棄となりますので、地形がうまく繋がるようパズルのように組み合わせていきます。

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タイル争奪のジレンマと、王国が広がっていく箱庭的な楽しさが絶妙。さすがはドイツボードゲーム大賞受賞作といえる隙のないつくりです。

唯一難点をあげるとすればプレイ人数。ゲームシステム上、4人がベスト、2人がベター(2人の場合は王様コマを2つ使います)、その次が3人となり、多人数には対応していません。

ルールも簡単で理解しやすく、タイルでの王国の広がりもビジュアル的に映えるので、子供や初心者受けもよさそうです。かつゲームシステムもしっかりしているので、ボードゲームに慣れた人でも楽しめる懐の広さ。

コンパクトで持ち運びしやすいのでボードゲーム布教用としても重宝しそう。サクっと遊べて「もう1回やろう」と繰り返し遊びたくなるおすすめボードゲームです。

項目 公式表記 コメント
年齢 8歳以上 5歳くらいからできるかも
時間 20分 人数次第
人数 2人-4人 4人がベスト
日本語化 不要 説明書のみ
項目 評価 コメント
ルールの易しさ ★★★★☆ 誰でも簡単
大人も楽しい ★★★★★ 大人も子供も
2人でも楽しい ★★★★☆ 2人でも楽しい
総合評価 ★★★★★ サクっと誰でも遊べる名作

キングドミノ 日本語版

キングドミノ 日本語版

味方のエージェントは誰だ?ヒントをもとに言葉を探すパーティゲーム「コードネーム(codenames)」【2016年ドイツ年間ゲーム大賞】

ボードゲームでは最も権威のあるドイツ年間ゲーム大賞 (Spiel des Jahres)を、2016年に受賞した「コードネーム(codenames)」です。

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ライバルより先に味方のエージェントを探せ!


ここには一般人を含む25人のエージェントがいる。
組織のメンバーは、25人のエージェントたちのコードネームしか知らない状況で、味方のエージェント全員とコンタクトしなければならない。


ライバル組織に属しているスパイマスターが2人。この2人だけがエージェントたちの秘密の正体を知っている。

スパイマスターはチームメイトに言葉を一つだけ示すことができる。この手がかりで味方チームにエージェントを特定するための情報を与えるんだ。
暗殺者には気を付けろ!それでは健闘を祈る。

内容物

コードネームカード(200枚)

両面にエージェントのコードネームである、様々な言葉が書かれたカードです。
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エージェントカード(25枚)

エージェントの正体を示すカードです。
レッドとブルーのエージェントカード16枚、ダブルエージェントカード(先行側のエージェントとして使用します)1枚、一般人カード7枚、暗殺者カード1枚
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キーカード(40枚)

スパイマスターだけが見れる、エージェントの位置を示すキーカードとカードスタンドです。
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砂時計

長考防止のための砂時計は必要に応じて使用します。

準備

ゲームの参加者は、レッドとブルー2つのチームに分かれます。

各チームは、それぞれ1人ずつスパイマスターを選出します。

残りのメンバーはエージェントとコンタクトをとる現場諜報員となります。
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まずコードネームカードをランダムに25枚とり、テーブルに5×5に並べます。

スパイマスター2人はテーブルに並んで座り、キーカードを1枚ランダムに選び、2人の間にスタンドに立てておきます。あわせてエージェントカードも手元に重ねて置いておきます。

現場諜報員たちは、テーブルの反対側など、キーカードの内容が見えない位置に座れば準備完了です。

ゲームの流れ

キーカードの外側には赤か青の印があり、印がついている方が先行チームです。

スパイマスターはキーカードを見ながら、自分の味方のエージェントに関するヒントをだし、同じチームの現場諜報員たちがそのヒントをもとに味方を当てていきます。

スパイマスターのヒント

スパイマスターが伝えるヒントは、エージェントの手がかりになる単語とカードの枚数です。

例えば「海 2枚」「音楽 3枚」といった感じですね。

諜報員の回答

現場諜報員はみんなで話し合い、味方のエージェントだと思うコードネームカードを指さします。

スパイマスターは指さされたカードの正体を、エージェントカード(レッドエージェント、ブルーエージェント、一般人、暗殺者)を重ねて明かします。

見事、味方のエージェントを当てた場合は、さらにもう一度当てるチャンスがあります。

外れた場合や、当てるのをやめる選択をした場合は相手チームのターンです。

終了と勝敗

味方のエージェントが全員明らかになったチームが勝利します。

なお、暗殺者を引いてしまった場合にはそのチームは即敗退となり、相手チームが勝利します。
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ゲームのイメージ

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キーカードを見れるスパイマスターには、25枚のエージェントカードが下記のように見えています。
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レッド:(北京で)「中国 1枚」
→順当に正解

ブルー:(銀行と億万長者で)「お金 2枚」
→2枚とも正解

レッド:(クイーン、ヨーロッパ、ネス湖で)「イギリス 3枚」
→2枚正解したものの、3枚目で相手チームのエージェントである「スーツ」を選び、敵に塩を送ってしまいます。
(ネス湖は難しかったかなぁ。)

ブルー:(スタジアム、キーパーで)「サッカー2枚」
→スタジアムは正解したものの、次は一般人の「ネット」を選んでしまいました。
(あ、ネットもサッカーだった・・。)

レッド:(ベッド、パーティーで)「ホテル 2枚」
→ベッドは正解でしたがカジノを選択

ブルー:(ライオン、クジラ、魚で)「動物 3枚」
→ライオンを正解した後、ユニコーンを選択

架空の動物も動物といえば動物だったか・・・。

というわけで、暗殺者のコードネームを引いた青チームの敗退です。
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スパイマスターもつらいよ。

このゲームで勝利のカギは、なんといってもスパイマスターのヒント。一つのヒントで複数の正解を出せるよう、複数のエージェントにかかるヒントを出せるかどうかにかかっています。

ただ、複数に掛かるヒントを出そうとすれば、言葉は曖昧にならざるをえず、遠ざかって不正解となるリスクが高まってきます。このあたりの勘所が難しい。

また、せっかく複数枚にかかる言葉を思いついても、相手チームの正解や暗殺者にかかりそうなヒントであれば使いものになりません。スパイマスターにはなかなかのジレンマです。

あえて暗殺者や敵カードをめくらないようにする「鳥 0枚」などのヒントを出したり、諜報員側も分からないけど思い切って引いてみるなど、ときには勝負に出る戦略も必要です。

ヒントからカードを当てていくということで、「ディクシット」と似てないこともないですが、相手の気持ちや考えを当てにいくディクシットに対して、コードネームは言葉そのものを連想していくワードゲーム的な要素が強いです。
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昭和の時代にNHKで放映されていた「連想ゲーム」に近いかも。


海外ボードゲームの日本語版は、ライセンスや「増版してもロットがさばけない」などの大人の事情で再販されない場合も多いです。

このコードネームはお題がキモ。海外版を買って200枚×両面のお題を全部翻訳するのは「言語学習用に海外版を」という人以外は現実的ではなく、海外版では実質遊べません。

興味がある方は、日本語版の在庫があるうちに購入することをお勧めします。


なお、姉妹品の「コードネームピクチャーズ」はお題がイラスト。雰囲気は違いますが、こちらなら海外版でも大丈夫です。

コードネーム:ピクチャーズ 日本語版

プレイ人数として4人は欲しいかも

パッケージのプレイ人数は、2~8人以上とありますが、実際はスパイマスターと現場諜報員がそれぞれのチームに必要なので、4人以上いないと正規ルールでは遊べません。

2人~3人で遊ぶ場合には、スパイマスターあるいは諜報員を兼任するなど変則ルールとなってしまいます。

そのため、本来のルールでの面白さを享受するには、4人以上で遊ぶ必要があることは留意したほうがいいかもしれません。


ただ、わが家で遊ぶときはほとんどが3人です。

うちの子はスパイマスター役が大好き。漢字もロクに読めないので、自分の分かる言葉だけを25枚探して並べ、諜報員役の両親にヒントを与えて指示しています。

どうやら適当なヒントに翻弄されて親がオロオロ探すのを、高みから見物をするのが楽しいようです・・・。
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コードネームカードを大きくしたり工夫すれば、職場のイベントなどでも使えそう。

こういう連想系のゲームは、単なる正解不正解だけではなく「あのヒントはこういう意図だったのか」というヒントを振り返るのがなかなか楽しいです。

話し合って当てていけばよいので短時間、チームのアンバランスも含め人数制約がゆるいところもパーティーゲームとして使い勝手がよいところ。誰でもできてみんなでワイワイガヤガヤ盛り上がるゲームです。

項目 公式表記 コメント
年齢 14歳以上 カードを選べば小さい子でも大丈夫
時間 15分 長考すると意外に長くなります
人数 2-8人以上 4人以上がおすすめかも
項目 評価 コメント
ルールの易しさ ★★★★★ 誰でも簡単
大人も楽しい ★★★★☆ 大人が楽しい
2人でも楽しい ★☆☆☆☆ 一応できるけど・・・
総合評価 ★★★★☆ みんなでワイワイ盛りあがる

コードネーム 日本語版

コードネーム 日本語版

意味を察して行動できる?見れない手札でヒントを出し合う協力カードゲーム「花火(Hanabi)」【2013年ドイツ年間ゲーム大賞】

子どもの頃家族と遊んだトランプで、一番人気だったのは七並べでした。

最初のうちは、手元にあるカードを数字の順に並べていくだけ。

慣れてくると、6や8などの真ん中のカードから出さずに止める戦略ができるようになります。

そして、最後は自分は出せなくなっても、ワザと止めて、「どっちが先にアウトになるか」という、他のプレイヤーとの我慢比べ。

単純なルールで、徐々に駆け引きの要素が加わってくるので、今思えばファミリーで遊ぶのに最適なトランプゲームなのかも。

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さて、一見して七並べにちょっと似ているカードゲーム、「花火(Hanabi)」です。

Hanabiというタイトルがついていますが、日本ゲームではなく、親日家のボードゲームデザイナー、アントワーヌ・ボザ氏が考案したフランス発のカードゲームです。

このHanabiは、2013年に小箱のカードゲームとしては初めてのドイツゲーム大賞という快挙を成し遂げました。

5色の大輪の花火を打ち上げよう

内容物

コンパクトな箱の中にはカードと、ヒントの数などをカウントするトークンが入っています。

カードは、1~5までの数字が描かれた5色の花火カードおよび、拡張ルール用の七色の花火カード(今回は使用しません)が入っています。

各色とも、1が3枚、2~4が2枚、5が1枚と、数が大きいほど少なくなる10枚で構成されています。
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トークンは、ヒントの数を示すヒントトークンが9枚、打ち上げ失敗を示す失敗トークンが3枚です。
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ヒントトークンをよくみると、ドイツ版ですが漢字がデザイン(?)されています。
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準備

トークンは使用状況が分かるように、空き箱に入れておきます。

カードは使用する50枚をシャッフルし、2~3人なら5枚、4~5人なら4枚ずつ配ります。残りのカードは山札として中央においておきます。

配られたカードは各自中身を見ずに反対を向けてもちます。

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ゲームの流れ

みんなは花火師となって、花火大会を成功させるべく、協力して各色の花火カードを順番に1から5まで並べていくのが目的です。
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手番でできることは、「他のプレイヤーに手札のヒントを出す」「手札から1枚を出す」「手札から1枚捨てる」のいずれかです。

ヒントを出す

任意のプレイヤー1人に手札のヒントを出すことができます。

ヒントを出せるのは「これとこれが3」「これとこれが青」というように、色か数字のどちらかいずれか一方だけです。

ヒントを出すと、トークンを失い、箱から1枚外に出します(トークンがない場合はヒントを出すことができません)。

カードを捨てる

手札から不要なカードを、捨て札置き場にカード捨て、山札から1枚補充します。
もちろん捨てるまでは、何のカードなのか、本人には分かりません。

カードを捨てた後は、ヒントのトークンを外から1つ箱に戻すことができます。

カードを出す。

手札から好きなカードを表にして場の中央に出し、山札から1枚補充します。

出すカードは、色ごとに1から順番になっていないといけません。

既に出ているカードとの連続、あるいはまだ出ていな色の1であれば、打ち上げ成功

つながらないカードや既出でダブってしまったら、打ち上げ失敗。失敗トークンを1つ取り出します。

(2がないのに3を出してしまった!失敗です。)f:id:bg4kids:20160914065526j:plain

ゲームの終了

5色全てのカードを出し終わった場合は25点の大成功となります。

一方で、3回打ち上げに失敗し、失敗トークンを全部出してしまったらゲームオーバー。0点です。

山札のカードがなくなった場合も終了で、場に出したカードの枚数が得点となります。

手がかりには言葉以上の意味がある。

このゲームの特徴は、なんといってもヒント。手札が見れないなかで、ヒントの出し手、受け手、双方ともヒントの意味を考えることがゲームの肝です。
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基本は、次にカードを出す順番になる人に対して、出してほしいカード。あるいは、出すとアウトとなってしまうカードの手がかりを伝えます。受け手はそれを記憶しながら、自分の手札を推定していきます。

ただ、数字と色だけの情報では、出すべきカードの判断は難しいです。また、ヒントトークンの数も限られています。

なので、ヒントの受け手は、ヒントの内容だけではなく自分になぜ『このタイミングで』『このヒントを』だしたのかという出し手の意図を上手く察して、適切な行動をとらなければなりません。

このように、お互いの言葉の裏側のコミュニケーションが大事ですので、コミュニケーションがうまくいかないと、このHanabiは正直とてもつまらないゲームとなります。

一方で、お互いに意図が通じ合うと、以心伝心がうれしくてとても楽しいゲームです。ある程度気心が知れた間柄で遊ぶといいかもしれませんね。

子どもには、追加でヒントを出してあげるなど、多少調整してあげれば、ルール自体は簡単なので、十分遊ぶことができます

日本人が作ったわけではないけれど、「相手の言葉の裏にある意図をくみとる」という日本人の気質にとても合った楽しいゲームです。

「空気を読む」など言外コミュニケーションが苦手な方の訓練にもいいかもしれませんね。
ドイツ年間ゲーム大賞は伊達ではありません。

項目 公式表記 コメント
年齢 8歳以上 6歳くらいからできるかな
時間 30分
人数 2-5人
項目 評価 コメント
ルールの易しさ ★★★★☆ 比較的簡単
大人も楽しい ★★★★☆ 大人が楽しい
2人でも楽しい ★★★☆☆ 2人でも遊べます
総合評価 ★★★★☆ 察するのは面白い!

花火 (Hanabi) 日本語版 カードゲーム

花火 (Hanabi) 日本語版 カードゲーム

これぞアナログゲーム!木製の柱を積み上げて建物を作っていくバランスゲームの傑作、ヴィラパレッティ(Villa Paletti)。【2002年ドイツ年間ゲーム大賞】

若者パレッティのライフワークは、天にそびえる建物を作ること。彼の祖父がはじめたものの資金不足で未完で放置されてしまったプロジェクトです。
パレッティもまた資金はないですが、その代わり素晴らしいアイデアがあります。
「おじいさんが下の階に使った古い柱を再利用して上の階を立てるんだ。これなら柱を移すだけだ!」

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2002年ドイツ年間ゲーム大賞のヴィラパレッティ(Villa Paletti)。建物建設がテーマのいわゆるバランスゲームです。
「キャプテン・リノ」が2012年にキッズ部門にノミネートしたことはありましたが、大賞を受賞したバランスゲームは後にも先にもこの作品だけだと思います。
bg4kids.hatenablog.com

自分の柱を積み上げて高い建物を作ろう。

内容物

30cm角の大き目の箱には、柱と床をはじめとした木製のコンポーネントが入っています。
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●土台ボード
 一番下に置くボードです。

●床ボード
 建物の各階の床となる、木製ボードです。

●柱
 4色×各5本で20本あります。
 柱は太さと形が異なっており、太い円柱(3点)、中ぐらいの六角柱(2点)、細い円柱(1点×3本)の3種類があります。

●マスタービルダー証
 最高得点者を示すための、木製の4面ダイスです。

●引き抜きフック
 柱を抜く補助をするためのフックです。

準備

土台ボードを置き、その上に全部の柱をみんなで適当に立てていきます。
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最後に青の床を上に置けば、準備完了です(全部の柱で床を支えている必要はありません)。
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ゲームの流れ

順番がきたら、下の階から自分の色の柱のうち好きな1本を選び、柱を下の階から抜き取って最上階に置いていきます。

いったん抜くときめた柱は、途中で変更できません。
ただ、途中で建物が壊れそうになったときは、ストップもできます。その場合、その柱は以降さわれない柱となります。
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新しい床の提案

自分の順番で、もう下の階から柱が抜けないと判断した場合は、「床を置きたい」とみんなに提案できます。

床を置く提案に、みんなが賛成してくれれば、そのプレイヤーは柱ではなく次の床を設置します。

「まだ抜けるでしょ」と、提案に反対するプレイヤーがいれば、反対者は提案者の柱を代わりに抜く挑戦をすることになります。

うまく抜くことができれば、抜いた柱は取り除かれもう使用しない柱とします。
一方、代わりに抜くことができなかった場合には、逆に反対プレイヤーの柱をどれでも一本取り除きます。

このゲームでは自分の柱は5本しかなく得点にもなりますので、取り除かれるのは痛いペナルティとなります。

得点

2つ目の床である緑の床が設置されたら、得点のカウントがはじまります。
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最上階においた柱の点数の合計が得点です。
まず最上階に柱を置いた人が得点獲得者となり、マスタービルダー証をもちます。他のプレイヤーが最高得点を更新すれば、ビルダー証を自分の色を上にして、引き渡します。

これにより、
「ビルダー証をもっている人=1位」「ビルダー証の色=前回の1位」となります。


最初に青が2点の柱を置きビルダー証をゲット、赤が3点の柱をおき得点を更新したのでビルダー証を青を上にして受け取ります。

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終了と勝敗

だれも最上階に柱が置けなくなったときや、建物が崩壊してしまったらゲーム終了です。ビルダー証を持っている人が勝者となります。

ビルダー証を持っている人が建物を壊してしまった場合には、ビルダー証の色が上になっている、前回の最高得点者が勝利します。

戦略要素が加わったバランスゲーム

壊さないように~引き抜いて~上に積んで~高くしていく、ということで、プレイ感はジェンガと似ています。ただ、単にバランスをとりつつ柱を抜いていくのではなく、「抜けるのは自分の色だけ」「最上階においた柱で得点」というルールによって、戦略的要素がプラスされています。ジェンガが好きな人には、より深い面白さが味わえるかも。

どこを抜くかが問題だ。

たくさんあるうちで自分の色の柱はたったの5本。いかに他のプレイヤーの柱に建物を支えさせて、自分の高得点の柱が上の階に置けるよう抜くかという、引き抜きの場所と順番が考えどころです。

柱が多いうちはどこから抜いてもスッと抜けます。しかし、本数が少なくなるにつれ、支える柱が少なくなるとともに、最上階に置かれた柱の荷重がかかってきて、抜くのがどんどん厳しくなくなってきます。

付属されている引き抜き用のフック、「こんなの必要なの?」と、遊ぶ前は思っていましたが、微妙なバランスをとりながら引き抜きをするには、なくてはならないツールです。

アナログゲームにしかできない面白さ。

スムーズに抜けていると思ったら、途中で引っかかってしまったり、木製コンポーネントのサイズの微細なバラツキもアクセントとなり、建物を取り囲むみんなでワイワイ・ハラハラ・ドキドキしながら盛り上がれるアナログゲームならではの魅力が詰まっています。

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バランスゲームということで、ルールも簡単で小さい子どもでもすぐ理解できます。しかし、それでいて考えどころもしっかりあり、大人だけで遊んでも楽しいゲームです。
木製ということもあり価格はお高めですが、それにおつりがくる面白さで、老若男女問わず会話しながら楽しめるパーティゲームとしておすすめです。

項目 公式表記 コメント
年齢 8歳以上 5歳くらいなら十分
時間 20-30分
人数 2-4人
項目 評価 コメント
ルールの易しさ ★★★★★ 誰でも簡単
大人も楽しい ★★★★☆ 大人も楽しい
2人でも楽しい ★★★★☆ 2人でも楽しめます
総合評価 ★★★★★ 誰でも遊べるパーティゲーム

ヴィラ パレッティ 並行輸入品

ヴィラ パレッティ 並行輸入品

この絵は名画か紙屑か?近代美術の画商となって絵画の売買をする、競りゲームの傑作「モダン・アート(Modern Art)」【1993年ドイツゲーム大賞】

画商となって、絵の売買をして稼ぐ「モダン・アート(Modern Art)」。1993年のドイツ年間ゲーム大賞を受賞した、いわゆる名作ボードゲームです。
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明日のピカソを探せ!

内容物

●絵画カード(70枚)
このゲームのメインとなる、取引される5人の画家の絵が、大ぶりのカードに描かれています。
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●ゲーム盤
5人の画家それぞれの自画像でしょうか。画家ごとの絵の価格を表示するボードです。
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●市場価値チップ
ゲーム盤に置いて使用する絵画の価値を示すチップです。

●コイン
所持金を示します。

●ついたて
お互いに所持金が見えないように、隠すためのついたてです。

準備

ついてたてを各自ひとつ、コイン100,000$分づつくばります。
初期の手札を配り(4人プレイなら9枚)、最初に競売人になるプレイヤーを決めたらゲーム開始です。

ゲームの流れ

プレイヤーは絵画を売買する画商となり、4ラウンドのなかで、絵画の売買をしながら所持金を増やしていくことが目的です。
絵画カードをオークションで売買し、さらにオークションで手に入れたカードを売却して換金し資金を増加させていきます。

ゲームはオークションと、絵画の換金の2フェーズで1ラウンドが構成されます。

オークション

競売人になるプレイヤーは、売りに出したい絵画カードを手札の中から選んで場に出します。
オークションの方法は、カードの隅にマークで示されており、その形式で、全員でオークションを行います。
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オークションで最も高値を付けたプレイヤーが、絵画を落札します。競売人にコインを支払い、絵画カードを受け取って自分の前においておきます。
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続けて、時計回りに次のプレイヤーが競売人を担当してオークションを続行します。
こうして、特定の画家の絵画が5枚出品されると、その絵画は取引されずオークションのフェイズは終了となります。

[ついたての裏にマークの解説がありますが、オークションには、公開競り、一声、入札、指値、ダブルオークションの種類があります。このいろいろなオークションをやるだけでもワイワイ楽しいです。

絵画の換金

最初に、画家ごとの絵画の出品数を数えます。
出品された絵画数の多い順で、画家に1位~3位のランクがつき、それぞれ30,000$~10,000$の価値となります。

ここで、1~3位の価値がついた絵画については、前のラウンドまでについた価格との累計が今回の価格です。1枚あたりこの価格で売却してカードを捨て代金を受領します。

一方で、4位以下となった画家の絵画は、値段がつかない無価値となります。過去の値段にかかわらず無価値となり、落札したカードをただ捨てます。

第2ラウンドではLITE METALの絵が1位で30,000$のチップがつき、累計40,000$の値段となりました。2位のKarl Gitterは50,000$、YOKOは今回はじめて値が付き10,000$です。他の絵は無価値です。f:id:bg4kids:20160818064213j:plain
換金が完了したら、カードを規定数補充して次のラウンドとなります。

絵の取引で儲けるって・・・。

商売の基本は、安く仕入れて高く売ることですが、モダンアートにもこの原則が当てはまり、お金を増やす手段は以下の2つです。
1)画家から二束三文で手に入れた絵画(手札)をオークションで他の画商に売却する。
2)オークションで買い付けた絵を市場で売却する。

前者については、高値で買い取ってくれるプレイヤーがいなければなりません。どの絵をどんな値段で出品するかが考えどころ。
後者については、人気がない絵を買っても後で売値がつかず、収支マイナスです。いかに人気が出る絵を買い付けるかが考えどころとなります。

絵の人気を高めるためには、自ら「流行をつくる」ことも戦略です。
自分も含めた参加者の出品数で人気が決まるため、同じ画家の絵画を自ら出品したり、他のプレイヤーの出品画家の絵をさらに出品して「相乗り」したりすることになります。

2つあるYOKO(緑)の値段を上げたいけど、みんな乗ってこないなぁ。さらにYOKO推しに出品するか、それとも人気のLITE METAL(黄色)に相乗りするか・・・。f:id:bg4kids:20160821175624j:plain

ひとたび人気の画家となれば、みんなが乗っていき、どんどん値段が高騰していきます。
業績のあがらない会社の株が、大したことない好材料で高騰したりするのにも似ていますね。
経済学者ケインズ株式投資美人投票を当てるようなもの。自分が美人と思うかは関係なく、みんなが美人と思いそうな人へ投資する。」といってますが、そんな株式市場にも通ずるものがあります。

価格は需要と供給で基本的には決まるが、需要は実際の必要性だけではなく投機的な思惑による実体なき需要に左右されるという、市場経済の縮図を体感することができます。個人的にこれはとてもいい勉強だと思います。
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結局のところ、カードのデザインは全く意味をなしていません。このゲームにおいて、画商にとって絵画は金儲けのための手段でしかないわけですね。
実際の絵画の市場はどうなのかは知りませんが、真の価値は誰にも分からない、でも時に高額で取引されるという点で、近代美術というテーマがとてもマッチしています。

プレイヤーの思惑と駆け引きだけで成立するダンアートの楽しさは、デジタルゲームにはない魅力です。ボードゲームに興味がある方には、日本語版も発売されていて手に入りやすいこともあり、一度は遊んでほしい名作です。


・・・・と、ここまで書きましたが、このモダンアート、駆け引きがすべてのゲームです。そのため、小さな子どもが苦手とする「ルールは分かっても勝ち方が難しいゲーム」となります。

うちの子が大好きなおさるのジョージで競売が登場していたので、オークションには理解がありましたが、やっぱり難しい。わが家では、駆け引きが理解できるほど大きくなるまでしばらく眠っている予定です。

項目 公式表記 コメント
年齢 10歳以上 8歳くらいからかな
時間 45-60分
人数 3-5人 できれば4人以上ほしい
項目 評価 コメント
ルールの易しさ ★★★☆☆ 割とシンプル
大人も楽しい ★★★★★ 大人が楽しい
2人でも楽しい ☆☆☆☆☆ 3人から
総合評価 ★★★☆☆ 大人は5つ星だが子どもは?

モダンアート modern art 日本語版

モダンアート modern art 日本語版